【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第2節】冥王イクスヴェリアの哀しみ。
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9歳児」のままだったのです。
また、一度に大量の〈マリアージュ〉を造ると、イクスヴェリアの身には、代償としてその数量に応じた長さの「休眠期間」が課せられました。
たとえ休眠中でも、〈青の欠片〉を組み込んだ〈操主の鍵〉を使えば、彼女を無理矢理に叩き起こすことはできましたが、決してそれで『必要な休眠時間それ自体が減る』という訳ではなく、不足分はただ「利息つき」で先送りにされてゆくだけです。
その後、古代ベルカでは、イクスヴェリアの〈休眠期間〉は一度も正しく消化されることなく、溜まりに溜まって行きました。
そして、彼女が不老不死の身となってから八百年あまりの後、ベルカ世界は〈大脱出〉の時代を迎え、彼女もまた滅びゆくベルカを後にしました。 同行者は、ただ「最後の大公の一人息子」フォルクハルトと「その侍女」マティルダと「最後のマリアージュ」ヴァロザミアの三人だけです。
一行はミッドへ行く前に、オルセア中央大陸の南部に拡がる無人の密林地帯に立ち寄り、〈操主の鍵〉と休眠状態にした「軍団長ヴァロザミア」とを、それぞれ別の場所で地中に埋めました。その後、イクスヴェリアは一旦、数十日の短い眠りに就きます。
そして、イクスヴェリアがまた半日だけ目を覚ました時、そこは岩盤を掘り抜いて造られたような「広々とした、しかし、とても閉鎖的な環境の部屋」でした。
フォルクハルトが外部の(ミッド地上の)映像を映し出しながら、恭しい口調で、イクスヴェリアに以下のような説明をします。
当時、ミッドの「内海」の北岸部には、狭い帯状の砂浜が東西に長く続いており、そのすぐ北側には「急勾配の断崖」がこれまた東西に長く続いていました。
その傾斜角は75度を超え、断崖の下にある「砂浜」と断崖の上にある「高台」との高低差は20メートルを超えています。
そして、砂浜の上に築かれた「とある漁村」の近くには、その断崖から丸ごと削り出して造られた「巨大な女神像」がありました。ミッドの旧き「海の女神」マレスカルダの神像です。
その神像は、玉座に座った姿ではありましたが、それでも、足下から頭頂部までは20メートルちかくもありました。また、玉座の正面、女神像の両足の間には、砂が上がって来ないように一段だけ高くなった石床の上に、両開きの大きな扉があります。
その扉を開けて広間の奥へ進むと、女神像の背後には、断崖の内部を掘り抜いて造られた昇り階段が、途中に四つの踊り場を挟みながらも、一直線に「高台」の上まで続いていました。その階段を昇り切ると、断崖の上に建てられた「小さな社」の中へと出られる形です。
また、個々の踊り場には左右に扉があり、やや長い通路でそれぞれの部屋へとつながっ
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