【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第1章】教会本部、ヴィヴィオとイクスヴェリア。
【第1節】聖王教会本部の側の動向。
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年か前に本部庁舎のすぐ近くに建てられた「今回は彼女たち専用の宿泊施設となる建物」へと案内しました。外見は簡素な平屋建ての木造建築ですが、元々が「要人用の特別な滞在施設」として建てられた建物なので、こう見えてもセキュリティは万全です。
南側の中央にある玄関から中に入ると、大変に幅広い廊下が北側の中央にある裏口にまで一直線につながっていました。向かって左側(建物の西半分)は丸ごと厨房や身辺警護要員の詰所などに費やされており、ヴィヴィオとカナタとツバサの三人が実際に生活をする場所はすべて廊下の右側(建物の東半分)になります。
(聖王教会では、昔から『東が上座で、西が下座』という考え方が一般的だからです。)
これから当分の間、高町家の三人はこちらで寝泊まりをすることになる訳ですが、バスルームやトイレなどはもちろんのこと、寝室も相当に広く、居間や食堂も綺麗に飾られ、書斎には「外部と直通の特別な通信設備」も設置されていて、四部屋とも居心地はとても良さそうでした。廊下に面したドアは部屋ごとに設けられていましたが、これならば、実際には『廊下には一歩も出ずに、何日も「こちら側」だけに引きこもって暮らしてゆく』ことすら簡単にできてしまうことでしょう。
昨日のうちに送っておいた手荷物や貴重品も、すでにその寝室に運び込まれており、三人はセインから食事の時間などについて説明を受けながら、まずは手荷物などの整理を始めました。
そうして一息ついたところで、イクスヴェリアの小さな「分身」がその部屋にやって来ました。ヴィヴィオの姿を見るなり、喜びの表情もあらわに、今では相当に豊満になったヴィヴィオの胸へと飛び込んで来ます。
「イクス、久しぶり〜。ごめんね、長らく御無沙汰しちゃって〜」
分身はニコニコ顔のまま、ぷるぷると小さく首を横に振りました。どうやら、『ううん、いいのよ。気にしないで』とでも言っているようです。
分身は続けて、ヴィヴィオのだいぶ膨らんで来たお腹をじっと見つめてから、ヴィヴィオに問うような視線を向けました。
「う〜ん。産まれて来るのは、まだ二か月ちかく先かな? 私たち三人は、多分、その頃までこちらで寝泊まりすることになると思うから、よろしくね」
イクスヴェリアはヴィヴィオに向かって大きくうなずくと、今度はお腹の中の胎児に何かを語りかけるような仕草をしてみせました。どうやら、歓迎の気持ちを表現しているようです。
(ちなみに、イクスヴェリアの分身は、今も言葉をしゃべることができません。)
「イクスヴェリアさん。お久しぶりです」
「やっほ〜。ボクらのコト、おぼえてる〜?」
ツバサとカナタにそう言葉をかけられると、小さな分身はふと怪訝そうな表情を浮かべてから、ヴ
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