暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第196話:人ならざる者の苦悩
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の男であった。

「さぁ、お待ちかね! 今宵限りのスペシャルステージを、とくとご覧あれッ!」
「よッ! 待ってましたーッ!」
「世界に名を轟かす有名若手マジシャンの手品を間近で見れるとか最高じゃんッ!」

 この日の為に練りに練った手品を次々と披露する颯人。まるで本当に魔法でも使っているのではと言う程の妙技の数々は、響達未成年は勿論マリアやガルドなどの大人組をも楽しませていた。

 一つの戦いが終わり、訪れた平穏を噛みしめる颯人達。

 その様子を離れた所から見ている者が居た。

「あ〜ぁ……詰まんない結果になったな〜」

 それはジェネシスの魔法使いグレムリンことソラであった。彼は離れたビルの上から、楽しそうに笑う響と颯人、そして奏の姿に侮蔑する様な目を向け鼻を鳴らす。まるで幸せそうにしている彼らの希望に溢れた笑顔が気に入らないと言いたげであった。

 が、その視界に未来の姿が映ると表情が変わった。

「ま、いいか♪ 面白い事も分かったし」

 以前、響は神獣鏡の光に包まれ、ガングニールの侵蝕から解き放たれると共に魂に刻まれた穢れを浄罪された。おかげで彼女は神の力の依り代となる資格を得てしまった訳だが、問題なのはそこではない。

 浄罪されたのはもう1人居ると言う事。そのもう1人である未来の姿に、ソラはピエロの様な笑みを浮かべ帽子を目深に被りその場を離れた。

「ンフフフフッ! あ〜、次は楽しみ♪ ンッフフフフフ……アッハハハハハハッ!」

 月夜が照らす夜の街に、無邪気にして邪悪な笑い声が響き渡る。

 それは次なる大きな騒動の訪れを予告する呼び声でもあったのだが、その事に気付いた者は誰も居ないのだった。
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