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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第196話:人ならざる者の苦悩
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ろもあるのかサンジェルマンは2人と違い理性で己の心を鎮めていた。
「サンジェルマン?」
「何故だ? サンジェルマンが一番あの男に文句がある筈なのに」
「そうなんだけどね……」
確かに、アダムに対しては言いたい事が山の様にあった。だが全てを失い、全てに絶望し自棄になって暴れる彼の姿を見ていると、サンジェルマンにはアダムが見た目よりもずっと小さい存在に見えて仕方なかったのだ。今までは局長という立場だけでなく、存在自体が自分とは隔絶した存在であると肌感覚で認識させられた――だからと言ってヒトデナシと言う評価が変わる訳ではないが――相手が、あんなにも人間臭くちっぽけに見える。そう考えると、何だか苛立ち以上に同情が湧いてきてしまい怒る気になれなかったのである。
まぁ詰まる所、サンジェルマンが抱いていた鬱憤は全部颯人が晴らしてくれたと考えることにして、アダムに対しては全て彼に任せる事を選んだのだ。どの道スペルキャスターを奪われ破壊された彼女らは戦力外となり、残った負担は全て彼らに任せる形となってしまった。それなのに戦いが終われば、さも自分達が手柄を立てたとでも言う様に騒ぐのは彼女のプライドが許さなかったのだ。そんな勝ち馬に乗るようなはしたない真似は出来ない。
何処か達観した目でサンジェルマンが颯人の事を見ていると、アダムは横になったまま彼に食って掛かった。
「ふざけるな、殺せッ!? 何様のつもりだ、僕を見下して満足かッ!? そんなに僕に生き恥を晒させたいのかッ!?」
いっそ見苦し位に声を上げるアダムを暫し見ていた颯人は、思いっきり溜め息をつくと変身を解除しアダムに顔を近付けるようにその場にしゃがみこんだ。
「止めようぜ、そう言うの」
「何?」
「俺が言うのもなんだけど、とっくにこの星に居ない連中を相手にそんなに頑張る必要……もうないんじゃねえの? 仮にアンタが神の力って奴を手に入れたとして、それを見せる相手が居ないんじゃ意味無くないか?」
その言葉にアダムは言葉に詰まった。確かに、もうこの星にはアヌンナキもカストディアンも居ない。だがそれは表面上の話だ。アダムは知っていた、この世界が仮初の平穏の上に成り立っているのだという事を。アダムはこの星に何れ訪れる真の危機を回避する為に、神の力を欲した面もあったのである。
しかしその計画は潰えた。神の力を手に入れることは叶わなくなり、そしてちっぽけな人間相手に自身も敗北を喫してしまった。打ちひしがれたアダムは、全てがどうでもよくなりつつあったのだ。
「……お前達は何も知らないだけだ。本当の恐怖は、すぐそこまで迫ってきている。僕はそれを防ぐ為に……!」
「ん? アンタもしかして、俺らの為にこんなことやろうとしたって訳?」
「ち、ちが……!? そう言う
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