第六十一話 曼荼羅その三
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「全くちゃうって」
「実際そや、もう密教と禅宗と浄土宗なんてな」
「全くちゃうね」
「東大寺も宗派やな」
「そやで」
綾乃は奈良のこの寺の話もした。
「この世界でも独自の宗派やで」
「そやな」
「ほんま日本の仏教宗派の数多いわ」
「幾つあるかちょっとわからん位やな」
「それでその教えの違いも」
これもというのだ。
「考えてみたら」
「相当やな」
「同じ宗教とは思へん位やわ」
「そやな」
「色々高僧さんが出て」
これも日本の歴史の特徴の一つである、それぞれの宗派を開く様な高僧達が出て日本の仏教を形成していったのだ。
「そしてやわ」
「それぞれ宗派立ち上げてな」
「その教えがまたちゃうさかい」
「凄いことになってるな」
「うちもそう思うわ」
綾乃も否定しなかった。
「相当やで」
「そやな」
「ただきつい修行かっていうと」
「そうでもないな」
シェリルもそれはと答えた。
「別に」
「そやね」
「滝に打たれてもな」
「身体も心も清められて」
「すっきりしてな」
「座禅を組んでもやね」
「痛くないし」
足がというのだ。
「むしろ心が無になって」
「宇宙と一体化したみたいになるね」
「そうなるさかいな」
だからだというのだ。
「ええもんや」
「そやね」
「そうした修行やからやな」
シェリルは達観した様に述べた。
「続いてるんやな」
「あんまり無茶な修行やと」
綾乃はそれならとシェリルに話した。
「流石にやで」
「続かへんな」
「嫌になるし身体も心も」
あまりにも過酷な修行はというのだ。
「もたへんさかい」
「せえへんな」
「実際座禅しても辛ないね」
「肩も叩かれへんわ」
「やってると自然と無我になって」
そうなってというのだ。
「むしろ気持ちええね」
「そやな」
シェリルもそれはと答えた。
「瞑想やな」
「それやしね」
「辛いもんでもないな」
「滝かてそんな真冬に打たれるとか」
「それはないな」
「ちゃんとした時にやって」
そうしてというのだ。
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