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神々の塔
第六十一話 曼荼羅その一
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                第六十一話  曼荼羅
 赤や紫の花が咲き誇る世界だった、一行は今その花々と枝や茎が壁になっている階を進んでいた。その中でだった。
 施は前から出て来た鳥達を倒してだ、そうして言った。
「何かこの階は曼荼羅みたいやな」
「そやな」
 芥川がまさにと応えた。
「言われてみたらな」
「花の色がな」
「そこに枝や茎の緑もあって」
「曼荼羅みたいやな」
「そういえばや」 
 芥川は施にこう返した。
「次に戦う神霊さんは仏さん達や」
「それでやな」
「そや、仏さんというたらな」
「曼荼羅やな」
「ああ、密教やとな」
「密教か。密教というたら」 
 施はその宗派仏教のそれを聞いてこう言った。
「元は中国から入ってるな」
「日本のそれはな」
「そう言われるとな」
 まさにとだ、施は壁の花達を見つつ話した。
「そやな、日本の花やな」
「ああ、この花は日本の花や」
 まさにとだ、こう言ったのは羅だった。彼もまた花達を見ている。
「我等が起きた世界でもよお見てるな」
「そやな」
「日本の仏教の世界ってことか」
「この階はな」
「次に戦う仏さん達の世界や」
 仏教のというのだ。
「ほんまな、しかし」
「今度は何や」
「いや、密教と禅宗と一向宗でな」
 羅は施に話した。
「ほんまちゃうな」
「同じ仏教でもやな」
「勿論日蓮宗ともな」
「同じ仏教でもやな」
「それで特に喧嘩せんな」
「まあな、日蓮宗は他の宗派敵視してるけどな」
 施はこのことも話した。
「流石に戦は売らんが」
「そうした宗派もあるな」
「そやけど喧嘩までせんな」
「揉めることはないわ」
「ほんまな、しかし」
 それでもとだ、施は羅に話した。
「実際かなりちゃうな」
「仏教と一口に言うてもな」
「宗派によってちゃうな」
「教えも修行の仕方もな」
「修行な」
 メルヴィルは修行と聞いて施に話した。
「わし仏教の修行って座禅組んで滝に打たれて」
「それでやな」
「苦行を積んでな」
 そうしていってというのだ。
「己を高める」
「そうしたもんと思ってたか」
「ああ、それがな」
「宗派によってちゃうな」
「そやな」
 こう施に述べた。
「それで修験道とか神通ともな」
「混同してたか」
「そうもしてたわ」
 自分から施に話した。
「ほんまな」
「そやってんな」
「それがな」
 そうした状況がというのだ。
「ほんまな」
「変わってんな」
「そうなったわ」
 実際にというのだ。
「日本に来てな、子供の頃はな」
 即ち来日する前はというのだ。
「そう思ってたわ」
「それが変わってんな」
「そうなったわ」
「そやねんな」
「ああ、今はちゃうけど
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