黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第9話
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ールベレー隊員は血みどろになりながらも立ち上がり、刀剣型の専用ライフルを構えて猛進して来る。
そんな彼に「とどめ」を刺すべく、スザクスパルタンは両脚にエネルギーを集中させて行く。地を蹴って飛び上がった彼の両脚は、白い電光を帯びていた。
「はぁあぁあぁああッ!」
「うぐぉおあ、あぁああーッ!」
空中で身体を捻り、何度も回転しながら繰り出す必殺のキック「サガ・スピノル」。突き出されたその両脚を胸に受けたグールベレー隊員は、断末魔の雄叫びを上げて吹き飛ばされてしまうのだった。事切れた彼の骸は病院の壁を突き破り、敷地の外へと墜落して行く。
「か、勝った……! カイン少尉が、勝ったんだ……!」
その光景を病院の外から目撃していた禍継は、両手を震わせて歓喜する。仲間達の骸を抱く彼の頬に、感涙の雫が伝っていた。無謀な任務に身を投じて来た自分達の戦いは、「無駄な足掻き」などではなかったのだと、ようやく実感出来たのだ。
一方、キックを終えて着地したスザクスパルタン――カインは仮面を外し、見目麗しい素顔を露わにする。壁に開けた穴から病院の外へと降り立ち、1本の葉巻を取り出した彼は一息つくように煙を立ち昇らせていた。
「……貴様らシェードが何を抜かそうが、何を為そうが。『外道』はどこまで行っても……『王道』になんてなれはしねぇさ」
大の字に倒れ伏しているグールベレー隊員。その骸を冷たく見下ろしながら葉巻を燻らせるカインの眼は、どこまでも冷たい。
人の身も心も捨てた怪物には、その死を悼む者さえ居ない。そんな冷酷な事実を突き付けるかのように、彼は骸に背を向ける。まだ、この戦いは続いているのだから――。
◆
――同時刻、シェード強襲部隊の前線指揮所。その「本拠地」に独り残っている指揮官の男は、指揮所のテント内で戦局の推移を「観察」していた。
椅子に腰掛け長い脚を組み、紅茶を嗜みながらレーダーの動きを見つめている黒スーツの男。彼は直属の配下であるグールベレーの動向を神妙に静観している。
鋭く眼を細める彼の目前では、レーダー内の光点が次々と消失していた。それはグールベレー隊員達の「戦死」を意味する現象であった。指揮官の男はその光景を前に、深々とため息を吐く。
「……デルタマンめ。圧倒的な優位に立っていながら、格下相手に翻弄された挙句……この始末か。あの木偶の坊をグールベレーに招いたのは失敗だったようだな」
スザクスパルタンに倒された隊員――「デルタマン」の死を悟った指揮官の男は、低くくぐもった声で部下の失態を嘆いている。マルコシアン隊との戦いで戦死したグールベレー隊員は、これで4人目。本来ならば、万に一つもあり得ない数字だ。
(いや……デルタマンだけの問題ではない。|高周波双刃刀《ヴ
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