黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第9話
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れない限り、奴には万に一つも勝ち目は無い)
入院している患者達はほとんど自力では身動きが取れない。無論、そんな状態の人間がこの戦闘に巻き込まれたらひとたまりもないだろう。つまりグールベレー隊員がこの病院を戦場にしている限り、スザクスパルタンは患者達全員を人質に取られているも同然なのだ。
強化されたグールベレー隊員の肉体すら貫通し得るクラウソラスの火力は、確かに脅威だ。しかしその火力も、発揮出来なければ意味はない。そしてスザクスパルタンに、この状況で発砲する覚悟などあるはずがないと、グールベレー隊員は見誤る。
(いくら俺の肉体を穿てるほどの火力であろうと、撃てなければ宝の持ち腐れ。さぁ、撃てるものなら撃ってみろ。俺を脅すためのつまらん挑発行為で、守るべき民間人を犠牲に出来るのならな。どうせ貴様はどれだけ大口を叩こうと――)
「――撃って来れない、とでも思ったか?」
グールベレー隊員が引き金に指を掛けた瞬間。スザクスパルタンもクラウソラスの銃口を彼に向ける。その銃身は、より多くの「手数」で相手を攻め立てる「ガトリングモード」に変形していた。
「……なにィッ!?」
よりにもよって、周囲への被害を最も度外視している形態。その銃身の形状にグールベレー隊員が驚愕した瞬間――クラウソラスの銃口が容赦なく火を噴き始めていた。
(馬鹿な、撃って来ただと!? この狭い病院内で! 奴め、ついになりふり構わなくなったか! 患者達のことは任せろ、などと部下に言っておきながら結局はこんなもの……! やはり奴も惰弱な人間よッ!)
豪雨の如き弾丸の嵐。その猛攻に晒されたグールベレー隊員は平静を乱されながらも、不規則に飛び回り紙一重で弾丸をかわし続ける。しかし完全に避け切ることは出来ておらず、被弾した飛行ユニットからは黒煙が漏れ始めていた。
「うぐぅうぅッ……!?」
「撃てちゃうんだよなぁ、これがぁあッ!」
狭い廊下の中では、ガトリングの掃射を避け切ることなど不可能。だが、患者達の安全を顧みるならそんな乱暴な手段など取れるはずがない。その目論見が破綻したグールベレー隊員を嘲笑いながら、スザクスパルタンは敵の背中目掛けて矢継ぎ早に銃弾の雨を叩き込んで行く。
(……どういうことだ。奴がこれほど苛烈な弾幕を張っているというのに、患者達の悲鳴も断末魔も聞こえて来ない……! まさか、この男……!?)
一方。完全に意表を突かれたグールベレー隊員は、被弾箇所が増えて行く状況に焦燥を覚えながらも、しきりに辺りを見渡していた。巻き添えも厭わぬ凶行だというのに、周囲からはそれを感じさせる悲鳴が全く聞こえて来ないのだ。
それが意味するものにグールベレー隊員が気付いた瞬間、スザクスパルタンことカインが仮
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