黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第9話
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の改造人間に叩きのめされている彼だが、その眼光には恐れなど微塵も無い。
まだ勝負は終わっていない。第2ラウンドはこれからだ。そう言わんばかりに立ちはだかるスザクスパルタンを前に、グールベレー隊員は忌々しげに口元を歪めている。そんな彼の表情を目にしたカインも、仮面の下でにやりと口角を吊り上げていた。
「……まだくたばっていなかったか、羽根付きの鉄屑。ならば今度こそ、地獄の底に叩き落としてくれるッ!」
「病院ではお静かに……って注意書きが読めないのか? ハッ、学の無い野郎だッ!」
背部のブリューナクを展開したスザクスパルタンがクラウソラスを構えた瞬間、グールベレー隊員は両翼を広げて彼の頭上を飛び越し、病院内に滑り込む。そんな彼を追い、スザクスパルタンもブリューナクの推力を全開にしていた。
「カイン少尉ッ!」
「武田2等兵、今までよく頑張った! 患者達のことは俺に任せなッ!」
禍継の叫びに突き動かされ、瀕死の身でありながらも立ち上がったスザクスパルタン。彼は自分の意識を呼び覚ました勇敢な少年兵に笑いかけながら、ブリューナクの翼を広げてその場から飛び去って行く。病院内の狭い廊下を高速で翔ぶ彼を目にしたグールベレー隊員も、飛行ユニットの速度を上げ始めていた。
「任せろ、だと? 随分と威勢の良いことを言っているようだが……何度戦っても同じだ。先ほど貴様を叩きのめした時と、何ら変わらん状況ではないか。考え無しの蛮勇は無能にも劣る大罪と知れ」
病院内を翔びながら自分を追って来るスザクスパルタンに対し、グールベレー隊員がほくそ笑む。実はこの状況は、先ほどスザクスパルタンが叩きのめされた時と全く変わらないシチュエーションなのだ。
先刻、グールベレー隊員にこの病院内まで逃げ込まれたスザクスパルタンは、患者達を巻き込みかねないことから撃ち返すことが出来ず、一方的に叩きのめされてしまっていた。その時を「再現」してやろうと嗤うグールベレー隊員は飛行しながら振り返り、専用ライフルを構えようとする。
「……好きなだけ吠えてな。ただし、心優しい俺から一つ忠告しておいてやる。これがさっきと同じシチュエーションだと思ってると、痛い目に遭うぜ?」
「……ふん、減らず口だけは一丁前だな。道化め」
だが、敢えて同じ状況に飛び込んだスザクスパルタンはグールベレー隊員を睨み、冷たく笑っていた。その得体の知れない「余裕」に眉を顰めつつも、グールベレー隊員は静かに照準を覗き込む。何度も急速にカーブしながら、2人は病院内の廊下を縦横無尽に翔び続けていた。
(……いくら大口を叩こうが、高火力の飛び道具が持ち味の奴では手も足も出せまい。こんなところで「本気」を出せば、すでに半死半生の患者達は確実に流れ弾で死ぬ。俺がこの病院から離
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