黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第9話
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瞬く間にエンデバーランドを火の海に変えたシェードの猛攻は、多くの人々に避難する暇すら与えなかった。そのため現在も、都市の各地では逃げ遅れた人々が身を寄せ合っている。
市内の総合病院が抱えていた患者達も例外ではない。侵攻が起こる前から入院していた彼らは、避難はおろか事態の把握すら間に合わず、戦火の中に取り残されてしまったのだ。
そんな無力な人々にさえ、シェードの上級戦闘員は容赦なく牙を剥く。その非道に怒りを燃やす若き少年兵は、大勢の仲間達を惨殺されながらも決して怯むことなく、小銃を構え続けていた。
「……シェードの外道共がッ! ここは病院なんだぞ……! 貴様達は人間の身体はおろか、心まで捨てたというのかッ!」
少年兵こと武田禍継の怒号が天を衝く。病院の入り口を背にして銃を構える彼は、ここから先は一歩も通さぬと言わんばかりの気迫を放っていた。そんな彼を冷たく睨むグールベレー隊員は、事切れた兵士の死体を投げ捨てながら静かに口を開く。
「物事の正邪は常に強者が決めるものだ。貴様達が『外道』と呼ぶ我々シェードがこの地球の覇者となれば、それこそが『王道』となる。無駄な足掻きなど止め、地獄の果てでその行く末を見届けるが良い」
翼型の飛行ユニットを背部に装備している、暗赤色のベレー帽を被った屈強な戦闘員。彼は手にした専用のライフルを禍継の眉間に向け、容赦なく引き金を引く。乾いた銃声が、この一帯に響き渡った。
「……ッ!?」
だが、グールベレー隊員の凶弾が少年兵に届くことはない。その瞬間に飛び込んで来たスパルタンの戦士が、己の身を盾にして禍継を守り抜いたのだ。
2枚の翼のようにはためいている、思念操作式武装「ブリューナク」。その飛行ユニットを背部に装備しているスパルタンシリーズ第18号機――「SPR-18スザクスパルタン」は、すでに満身創痍となっている。だが、その仮面の下に隠された鋭い双眸は今もなお、倒すべき「敵」に対する殺意に満ちている。
黒と白を基調とするそのボディは「仮面ライダーデルタ」を想起させるカラーリングだが、全体のシルエットは「仮面ライダークウガ・アルティメットフォーム」に近しい。さらに頭部の装甲は、「仮面ライダーカリバー」を彷彿させる形状だ。その手に握られた専用ライフル型変形武装「クラウソラス」は、戦火に照らされ妖しい輝きを放っている。
「……地球の覇者ぁ? 今時そんなセリフ、アクション映画の悪役でもなかなか口にしないってのに。シェードの脳改造ってのは、現実とフィクションの区別も付かなくなるらしいな」
その外骨格――スザクスパルタンを纏う美男子ことカイン・アッシュ少尉は、傷だらけの身を引き摺りながらもグールベレー隊員を冷たく嘲笑する。すでに一度、目の前
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