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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第8話
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ベレー隊員と対峙しているスパルタンシリーズ第11号機――「SPR-11アサルトスパルタン」。その仮面の戦士もそれを意識してか、「試製対改造人間用マイクロウェーブガン」の銃口を僅かに下ろしてしまう。だがグールベレー隊員はその隙を狙い、容赦なくマイクロ波を撃ち込んで来た。

 無論、そのまま喰らうアサルトスパルタンではない。彼は脚部のホバームーブユニットによる高速機動で、相手のマイクロ波を回避して行く。バックパックに接続された、傘のように頭を覆うレドーム。両肩部、腰部に搭載された電子戦用レーダー。後腰に装備された小型大容量エネルギーパック。それらの重装備を抱えていながら、彼は素早く軽やかに屋上を滑り、マイクロ波をかわしている。
 装甲色が銀から都市迷彩に変わった「シャドームーン」……のようにも見える外観だが、各部に搭載された電子戦用の装備によって、そのシルエットは似ても似つかないものとなっていた。

 この機体は本来、索敵及び電子戦用に製造された試作機「エレクトロニックスパルタン」だった。しかしシェードに対抗するべく、単騎での戦闘力を高める方針に転換された結果、「アサルトスパルタン」として生まれ変わったのである。今のこの機体は、戦うために生み出された闘争の申し子なのだ。

「……偉ぶってる割には、随分とセコいことを言うじゃねぇか。散々見下して来た『ただの人間』相手に、真っ向勝負で勝てる自信も無ぇか?」

 その外骨格を纏うガルス・ショウグレン少尉はやむなくマイクロ波を撃ち返しながら、嫌味たっぷりに呟く。第4基地きっての不良士官だった彼は、その肩書き通りの悪態を露わにしている。
 だが、その視線は度々足元の先――避難民達の方へと向けられていた。どれほど不良と言われようと、彼も国民を守るために銃を取った軍人。苦しんでいる人々を放っておくことなど出来るはずもないのだ。

(……このままマイクロ波の撃ち合いが長引けば、俺が平気でも下に居る避難民達が耐えられねぇ。だが俺がこの勝負から降りたところで、奴はお構いなしに照射を続ける。……流れを変えるしかねぇってこったな)
「この俺と対等に渡り合える機動力と火力……確かに、人間風情にしては上出来だ。しかし、所詮は付け焼き刃の技術で急造された鉄屑。ここまでが限界だったようだな」
「……」

 思考を巡らせるアサルトスパルタンに対し、高慢な態度を見せるグールベレー隊員。その佇まいを冷ややかに睨み付けるアサルトスパルタンは、嘲笑うような笑みを溢していた。

「……黙って聞いてりゃあ、随分と自分を卑下するじゃねぇか。そういうことは思っていても口にするものじゃないぜ? 東洋には『言霊』って概念があるが……ネガティブな言葉は、自ずと悪い結果を引き寄せちまうもんだ」
「卑下だと? 解せんな、なぜそうなる」
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