黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第8話
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市外への脱出が間に合わず、各地の指定避難所に身を寄せるしかなかった避難民達。彼らの行き先の一つである教会もまた、マルコシアン隊とグールベレーによる「決闘」の舞台と化していた。
教会の屋上で激しく交戦している、スパルタンシリーズの戦士とグールベレーの隊員。彼らの激戦による轟音は、絶えず教会内に響き続けている。
その凄絶な衝撃音や振動に怯えながら、避難民達は出入り口の前で必死に身を寄せ合っていた。中には、教会内に聳え立つ巨大な十字架に祈りを捧げている者もいる。
可能であれば、すぐにでもこの場から離れるべきなのだろう。だが、シェードの一般戦闘員達が大勢跋扈している表通りに迂闊に飛び出せば、格好の的にされてしまう。外の恐ろしさを知っているからこそ、逃げるに逃げられない。そんな絶望的な状況に、避難民達は悲痛な表情を浮かべていた。
「くそッ……! マルコシアン隊の英雄達が命張って戦ってるって時に……俺は何で、こんなにも無力なんだよッ……!」
一向に希望が見えず生気を失って行き、体調を崩して行く避難民達。そんな彼らの窮状を見つめながら、悔しげに歯を食いしばる若き少年兵――上杉蛮児1等兵は、獰猛な眼で天井を睨み付けていた。
彼も明智天峯と同じく、日本人であることを理由に無謀な任務を押し付けられた1人なのだ。それでも彼は腐ることなく、己に課せられた役割を完遂しようと拳を震わせている。
「……俺の命なんて賭けたところで、カスほどの価値も無えのかも知れねーけどなぁ……! だからって、ここでブルってて良いわけねーだろうがッ……!」
シェードの改造人間に普通の銃器など通用しない。それをすでに嫌というほど思い知っていた彼は、持っていた小銃を放り投げ、上階に続く階段を駆け上がって行く。
例えどれほど無力であろうと、この状況でジッとしていることなど出来ない。そんな人柄である彼は、無謀を承知でマルコシアン隊に助太刀するべく、屋上に向かおうとしているのだ。
一方、その屋上では。マルコシアン隊のスパルタンとグールベレーの隊員が、一進一退の攻防を繰り広げていた。小銃型のマイクロウェーブガンを携えている両者は、互いにマイクロ波を撃ち合いながら激しく動き回っている。
「ふん……いつまでつまらん小競り合いを続けるつもりだ、鉄屑。別に俺は構わんが……早くカタを付けねば、近くに居る人間共の身体が持たんぞ?」
不遜な佇まいで鼻を鳴らすグールベレー隊員は、自分達の足下で怯えている避難民達への「影響」に言及する。ここの避難民達に起き始めている体調不良は、ストレスだけが理由ではなかったのだ。彼らが照射し続けているマイクロ波の「余波」も、避難民達の健康被害に繋がっていたのである。
「……」
グール
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