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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第7話
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けてやる。その研ぎ澄まされた殺意が、刃の唸りに現れていた。

 ――だが。ソニックスパルタンに同様の色はない。それどころか彼は落ち着いた様子で、チラリと「宿敵」の方を見遣っている。仮面に隠されたその口元は、ニヤリと歪んでいた。

「良かったのか? そんなに疾くなってしまって」
「……!?」

 その言葉の意味を、グールベレー隊員が理解するよりも早く。最高速度に達したソニックスパルタンは、ショッピングモールの行き止まり――施設内の壁に激突しようとしていた。

(バカな……! 戦いもせずに死ぬ気かッ!?)

 普通に考えれば、頭から激突する前に左右どちらかに避けるはず。その際に減速した瞬間が、絶好の「隙」となる。それがグールベレー隊員の狙いだったのだが、ソニックスパルタンはそのまま行き止まりの壁に突っ込もうとしている。

「ぐッ……あぁあぁあッ!」

 すると、激突の瞬間。その場で後方に宙返りするように、突然体勢を反転させたソニックスパルタンは、急速な「逆噴射」を始めようとしていた。
 これまでの超加速による殺人的なGを真っ向から浴び、その絶大な圧力に全身の骨を軋ませながらも――彼は、「真逆」の方向に飛び出したのである。

「なッ――!」
「――でやぁあぁあぁあッ!」

 そんな彼の「暴挙」に反応する暇もなく。最高速度に達していたグールベレー隊員の腹部に、超高速の飛び蹴りが炸裂する。あまりの衝撃にグールベレー隊員の身体がくの字に折れ曲がり、彼の口から鮮血が飛び出した。

「ご、ぁ……!」

 周囲の瓦礫が、衝撃波によって吹き飛ばされて行く。その轟音を耳にする暇もなく、グールベレー隊員の視界が歪んで行く。彼の肉体が、内側からバラバラになって行く。

(超加速状態のまま、一切減速することなく壁に激突し……その壁を蹴って「反転」したのか……!? リミッターを外した俺の速度を……衝撃力の向上に「利用」するためにッ! なんたる狂気……! 自壊も死も、何一つ恐れぬ狂人の所業だッ!)

 自滅を厭わぬ捨て身の特攻。それは生還を前提とするグールベレーの隊員達では、例え思い付いても決して実行することのない禁じ手。しかしマルコシアン隊は、躊躇なくその手段を選んで来る。その勝利に対する貪欲さが、基礎性能の差を上回ったのだ。

「……はぁあぁあぁあーッ!」

 さらに、ソニックスパルタンの攻撃はこれだけでは終わらない。彼はこの飛び蹴りの反動を利用して再び真逆の方向に飛び、さらに壁を蹴って2度目の蹴りを繰り出す。そしてその蹴りが炸裂した瞬間、「次」の一撃に向けて動き出して行くのだ。3度、4度。5度、6度。敵が力尽きるまで、この連撃は続く。

「うぐぉあぁあぁあッ!」

 周囲の壁を足場に利用し、何度も飛び蹴りを繰り
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