黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第7話
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ったソニックスパルタン。その装甲色が深紅に赤熱し、胴体の突起部分に設けられた排気口から蒸気を吐き出し始めたのだ。
「……ぉおおぉおぉあぁああッ!」
「なッ……!」
その疾さは、もはや音速。そう形容して差し支えないほどの速度であった。生身の人間が装着する外骨格で出して良い疾さではない。文字通りの、殺人的な加速だ。そのあまりの速度に驚愕するグールベレー隊員は、一気に距離を離されてしまう。
(この俺が……引き離されたッ!? 俺と同じ超高速に到達するために……リミッターを外したというのか!? 速さを得るためだけに命を削るとは……なんたる酔狂ッ!)
ヒトであることを捨てた改造人間であるが故に、到達出来る領域。そこにヒトの身であるスパルタンが踏み込んで来た事実に、グールベレー隊員は戦慄する。だが、ソニックスパルタンの方もかなり苦しい状態に陥っていた。
「がッ、ふッ……ぅうぉおおぉおッ!」
仮面の隙間から噴き出る吐血が、後方を翔ぶグールベレー隊員に降り掛かる。グールベレー隊員はその血を拭いながら、ソニックスパルタンの様子を観察していた。
どうやらこの超加速はやはり、装着者にかなりの負荷を強いるものだったようだ。このまま無理に翔び続ければ、グールベレー隊員の方から何か仕掛けるまでもなく、ソニックスパルタンの全身は文字通り「空中分解」することになるだろう。
(……ふっ、良いだろう。貴様といい、あの小僧といい……人間の意地というものも、なかなか捨てたものではなかったようだな。ならばこの俺も……最期まで付き合ってやろうではないかッ!)
ソニックスパルタンことアレクシス・ユーティライネン。「小僧」もとい、明智天峯。彼らの「意地」を目の当たりにしたグールベレー隊員は、不敵な笑みを浮かべて口元を吊り上げる。
接近戦を避けて相手が自滅するまで粘れば、簡単に勝てる戦いだ。しかし、そんな方法で勝ってもスパルタンシリーズという「悪足掻き」の否定にはならない。完全なる勝利を以て人間達の心を折らねば、この戦いに意味はない。
「ぬぅあぁああぁあぁあッ!」
その結論に至ったグールベレー隊員は――自らもリミッターを解除し、音速に迫る疾さに到達する。彼も全身から血を噴き出し、狂気を剥き出しにしてソニックスパルタンに追い付こうとしていた。
(どうだ……! 俺の加速能力は貴様の「完全上位互換」ッ! 貴様がいくら命を削ろうとも、俺が同じ土俵に上がりさえすればその差は簡単に埋められるッ! 人間にしてはよく足掻いたが……俺の勝ちだッ!)
血だるまになりながらもソニックスパルタンに追い付いて行くグールベレー隊員。彼は血走った眼で「宿敵」の背を射抜きながら、腕部の高周波ブレードを作動させていた。この刃で今度こそ決着を付
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