黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第7話
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すでにエンデバーランド市内のほとんどは死の廃墟と化しており、市外への脱出が叶わなかった一部の市民達は各地の避難所に身を寄せ、息を潜めて今日の命を願っていた。
しかし高度な生体探知能力を持つシェードの戦闘員達は、ただ生きたいと願っているだけの無力な民間人達を容赦なく発見し、命乞いの暇すら与えず手を掛けて行く。女子供だろうと、そこに情けは欠片も無い。
それは、何人もの避難民達が身を寄せ合っていたショッピングモールも例外ではない。マルコシアン隊のスパルタンシリーズに目を付けていたグールベレーの1人が、その地に集まっている避難民達を発見していたのだ。
ヒラの戦闘員にすらほとんどの人間は手も足も出ないのだ。幹部怪人級の戦闘力を持つグールベレーの隊員に襲われれば、無論ひとたまりもない。彼らの視界に捉えられた瞬間、力無き人々の運命は決してしまうのである。
「ハァ、ハァッ……!」
だが、無力な人間でありながらその運命に抗おうとする者が居た。血だるまになりながらも小銃を手放すことなく、身を寄せ合い肩を震わせている避難民達の盾となっている一兵卒の青年。彼は何度もふらつきながら、それでもグールベレーの隊員と真っ向から睨み合っている。
避難先のショッピングモールでグールベレー隊員と遭遇してしまった避難民達。彼らの護衛という無謀な任務を愚直に遂行せんとする青年は、血に濡れた手で小銃を構えながら、一歩も退くことなく戦い続けようとしていた。
「……諦めろ小僧。ここに来た鉄屑の男ならすでに始末した。生身の兵士1人で何が出来る? どのみち皆殺しには変わらないが……何か言い残す時間くらいはくれてやっても良いのだぞ」
そんな青年に哀れみの視線を向けるグールベレーの隊員は、腕部に装備された鎌状の刃を向け、最後の情けを掛けていた。激しい戦闘によって破壊し尽くされたショッピングモール内には、大量の血痕が残されている。
この場所で彼と戦っていたマルコシアン隊のスパルタンは、すでに敗北していたのだ。グールベレー隊員の背後に積み上げられた瓦礫の山。その隙間からは、彼に敗れた戦士の片腕がはみ出ている。辺りに広がる夥しい血の海が、戦闘の苛烈さを物語っていた。
自分達にとっての最後の希望となるはずだった、スパルタンシリーズの戦士。その希望の象徴ですら、このグールベレー隊員には一歩及ばなかったのである。そんな絶望的な光景を見せ付けられているというのに、一兵卒の青年はそれでも抗うことを止めない。
「貴様達の施しなど受けるものか……! 私達人間は決して、貴様達などに屈しはしないッ……!」
「強情な人間だ。貴様……徳川清山様と同じ日本人だろう? 最初から無駄な抵抗などしなければ、そのよしみで助けてやったものを……」
「…
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