黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第6話
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も折れぬか。やはり貴様は……危険過ぎるッ!」
そんなジュリウスことサムライスパルタンの狂気を、戦闘員も察知していたのだろう。彼は圧倒的な優位に立っていながらも、慢心することなくとどめの一閃を繰り出そうとしていた。
双刃刀を勢いよく振り回す彼は、サムライスパルタンを溶鉱炉に突き落とそうと肉薄して来る。だが、双刃刀の切っ先がサムライスパルタンに届く前に――
「ありがとう、嬉しい褒め言葉だわ」
「なにッ……!?」
――彼女はなんと、愛刀を上方に放り投げてしまう。さらに自ら、足場から飛び降りようとしていた。
一見すれば、戦うことも生きることも放棄した自殺行為。戦闘狂としか思えない彼女の振る舞いからは、想像もつかない選択だ。
(なんだ、奴は一体何をッ……!?)
この行為には、何か「裏」があるのではないか。そう睨んだ戦闘員が、彼女の「真意」に気付きかけた瞬間。溶鉱炉に向かって飛び降りた……かのように見えたサムライスパルタンの両手が、足場の縁を掴む。
「はぁッ!」
その勢いを利用して、縁にぶら下がった状態から身体を前に振ったサムライスパルタンは、足場の裏面を蹴り上げて穴を開けていた。彼女はその穴から飛び出すように、一瞬で戦闘員の背後に回り込んでしまう。
「なッ、にィィィイッ!?」
鉄製の足場の下側を通って戦闘員の背後を取るという奇策。その不意打ちに虚を突かれた戦闘員が振り返ろうとした瞬間、先ほど上方に放り投げられていたサムライスパルタンの愛刀が、持ち主の手元に落下して来る。
「ぬッ……あぁああッ!」
そうはさせるか――と言わんばかりに、戦闘員は振り向きざまに双刃刀を振ろうとする。だが、その切っ先よりも。愛刀の柄を掴み、居合の構えを取ったサムライスパルタンの方が、僅かに疾い。
「――お先」
それが、戦闘員が耳にした最期の言葉となった。互いに振り向きざまに放った一閃。その一太刀は、サムライスパルタンの方が先だったのである。真横に振り抜かれた高周波ブレードの刃が、戦闘員の上半身と下半身を瞬く間に両断して行く。
「あ、がッ……!」
断末魔を轟かせる暇もなかった。真っ二つに切り分けられた彼の身体は、そのまま力無く溶鉱炉に向かって墜落して行く。その最期を見届けたサムライスパルタンは勝利を確信し、静かに踵を返していた。
「……ふふっ。あなたの言う通り……『実力』は雲泥の差だったようね?」
振動機能を切った愛刀を腰に納め、サムライスパルタンはゆっくりと製鉄所を後にして行く。そんな彼女の後ろでは、溶鉱炉に落とされた戦闘員の遺体が跡形もなく消し去られようとしていた。
――互いに敵を倒すため
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