黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第6話
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の斬撃を払い除けた瞬間。彼は背面に隠し持っていた「2本目」を引き抜き、虚を突くように振り抜いて来る。
咄嗟に身を引いてかわそうとしたサムライスパルタンの腹部装甲が、その一閃でぱっくりと切り裂かれていた。超振動装甲と言えども、その防御力を上回る高周波ブレードで斬られてはひとたまりもないのだ。
「ふふっ、この鎧を簡単に切り裂いちゃうなんて……ますます昂るわ」
「気に召したようで何よりだ。ではもっと楽しませてやろうッ!」
「……!?」
さらに戦闘員は、2本の剣の柄同士を連結させることによって双刃刀を作り上げ、変則的な軌道で斬り掛かって来る。柄の両端に備わる高周波ブレードを巧みに回転させながら距離を詰めて来る戦闘員に対し、今度はサムライスパルタンが防戦一方となっていた。
「随分とユニークな機能が付いてるのね……! 男のロマン、ってヤツ?」
「敵を仕留めるための『拘り』をそう呼ぶのなら、貴様と同じだ。尤も……『実力』は雲泥の差だがなッ!」
単純に「手数」が優っているだけではない。双刃刀を巧みに使いこなす戦闘員の剣術は、サムライスパルタン――ジュリウスの技量とほぼ互角なのだ。そこに改造人間の膂力も加われば、サムライスパルタンはより劣勢となってしまう。
「く、うぅッ……!」
防御に徹していた彼女は徐々に後退して行き、ついには溶鉱炉を背にした位置にまで追い詰められていた。あらゆるものを焼き尽くし、溶かしてしまう溶鉱炉。その熱気を背にしたサムライスパルタンは、仮面の下で汗だくになっている。
「……くっ、ふふっ……うふふっ……! うふふのふ……!」
だが、それは暑さや焦燥が理由ではない。血湧き肉躍る闘争への悦びが、彼女の肉体に滲む汗に表れているのだ。絶体絶命の窮地に立たされていながら、仮面の下で愉悦の笑みを浮かべている彼女は、喜びを噛み締めるように愛刀の柄を握り直している。
(こんなものではないわ……あの時に味わった緊張感は、こんなものではない……!)
この土壇場で脳裏を過ぎるのは、走馬灯……などという綺麗なものではない。数ヶ月前、第4基地でジークフリートと剣を交えた時に味わった、身を焦がすような緊張感。その時の、魂まで燃え尽きてしまいそうなほどの滾りと、昂り。
(まだね……! まだよ……! まだ私は、こんなにも渇いている! この剣技を、枯れ果てるまで使い尽くせるような戦いに……飢えているッ!)
それらを思えば、これほどの死地であっても。まだ、「足りない」のだ。ジュリウス・カドラリスという女を徹底的に打ちのめし、心を折るには、あまりにも「足りていない」。その渇きが、飢えが、仮面に隠された狂気の笑みに現れている。
「……ここまで追い詰められて、なお
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