黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第5話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そのようなことでは……」
「お前の言うことは正しい。だが正しいだけでは、命を預ける理由としては足りんということだ。……そこのお前、例の連中をここに呼び出せ」
「ハッ!」
アビスの口から語られた「慣習」に苦言を呈するヴィルヘルム。そんな彼を嗜めながら、ジークフリートは1人の兵士に声を掛けていた。自分の「打診」を断った軍人達を呼び出せ、という命令を受けた巨漢の壮年兵士は背筋を正して敬礼し、弾かれたように走り出す。
その兵士が基地内の隊舎に駆け込んだ時――薄暗い居室の奥では、複数の若い男女の士官達が悠々と寛いでいた。陸軍最強と名高い英雄が「視察」に来ているというのに、彼らは意にも介さず各々の時間を過ごしている。
居室内に設けたハンモックに寝そべっている者も居れば、窓辺やソファに腰掛け、読書を嗜んでいる者も居る。中には、気怠げに煙草や葉巻を燻らせている者まで居た。「名ばかりの英雄」など知ったことではない、と言わんばかりの傲慢不遜な佇まいだ。
「お、お休みのところ失礼します! 例の……ジークフリート・マルコシアン大佐がお見えになられましたッ! 全員、直ちに出頭せよとの命令でありますッ!」
ジークフリートの全身から迸っていた、荘厳な覇気。今目の前に居る、若い士官達から放たれている強烈な重圧。その両方に押し潰されそうになりながらも、巨漢の壮年兵士は背筋を正して声を張り上げている。
「……命令、ね。そう、伝達ご苦労様」
鋭い眼光で壮年兵士を射抜く、若い士官達。その中の1人である、長身の美女がそう呟くと同時に、全員が素早く立ち上がり――「5階」の窓から躊躇なく隊舎の外へと飛び出して行く。
「トォオッ!」
漆黒のライダースジャケットを翻し、迷いなく高所から飛び降りた士官達。彼らは壁を蹴って宙を舞い、空中で華麗に一回転していた。そのまま地を転がって受け身を取った彼らは、勢いを殺すことなくジークフリート達の前へと素早く駆け付ける。
尋常ならざる身体能力を、これでもかと見せ付けるかのように。彼らは動き出してから10秒足らずで、「上官」の前に馳せ参じていた。
「ジュリウス・カドラリス大尉以下6名、出頭致しました」
ジークフリート達の前に瞬時に現れた、ジュリウス・カドラリス大尉をはじめとする数名の士官。彼らは僅かな乱れもなく一列に並び、背筋を正して敬礼している。
「……っ!」
5階から飛び降りてもかすり傷一つ無く、華麗に受け身を取れるほどの身体能力。それほど激しく動いても、汗一つかかず息も切らしていない基礎体力。その尋常ならざるフィジカルには、「打診」を断ったというジュリウス達に対して否定的だったヴィルヘルムでさえ、思
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ