黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第4話
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あるマルコシアン隊とグールベレー。しかしそこには、肉体のスペック差という絶大な違いがある。超人的な身体能力という下地を持った上で、同質の訓練を経験しているグールベレーはまさしく、マルコシアン隊の「完全上位互換」なのだ。
当然、まともに戦えばマルコシアン隊に勝ち目などない。条件が同じであるならば、生身の人間が改造人間に敵うはずがない。しかしその現実を頭で理解していながら、バイルは一歩も退くことなく、鋭い顔付きでランバルツァーと対峙している。
「……『兵士』とは、血の通った人間がその責務を背負うからこそ『兵士』たり得る。人間であることを捨て、ヒトの形をしているだけの『兵器』に成り下がったあんた達に、俺達マルコシアン隊は……絶対に負けない」
その宣言と共に、ボクシングのファイティングポーズを取るバイル。そんな彼の構えが完成した瞬間、仮面上部と顎部装甲がガシャンと閉鎖され、「変身」が完了する。外骨格の各部から噴き出す蒸気が、戦闘開始の狼煙を上げていた。
例え相手が、自分達の全てを上回っているのだとしても。人間としての誇りという最大の武器を持つ自分達が、改造人間の暴威に屈するわけには行かない。この国を、この国で暮らす人々を想えばこそ、ここで退くわけには行かない。愛した人が願った平和を、取り戻すためにも。
――その想いは、別々の場所でグールベレーの隊員達と対峙している、他のスパルタンライダー達も同様であった。彼らは皆、自分の「上位互換」を相手に真っ向から宣戦を布告し、各々の戦いを始めている。
「ふん、それがジークフリートの教えか。奴のそういう無駄な潔癖さが、この事態を招いたということがまだ分からんようだな。……いいだろう、ならば最期の『稽古』を付けてやる。掛かって来るがいい」
そんな元教え子達の勇姿を前に――ランバルツァーは口元を歪め、獰猛な笑みを浮かべていた。バイルことバレットスパルタンが見せたものと同様のファイティングポーズを取る彼は、真っ向から「愚息」の挑戦に応じようとしている。
「『例え全世界が絶望したとしても、お前達だけは最後まで諦めるな』。……これは、あんたの教えだ」
「……俺は、お前達の教育を誤ったようだ。出来もしないことを教えてしまった」
マルコシアン隊とグールベレー。命と誇りを賭けた最期の一騎打ちが、始まろうとしていた。
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