黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第4話
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ークフリートと共に自分を引き取り、10年もの時を一緒に過ごして来た、もう1人の「父親」だったのである。筋骨逞しい肉体を持つ、身長210cmはあろうかという大男。その巨漢はゆっくりと振り向き、鋭い眼差しでかつての教え子を射抜く。
「俺とジークフリートが、お前をこの施設から引き取って……もう10年になるか。時の流れは早いものだな。幼く無力だったお前の姿は、今でも昨日のことのように覚えている」
見間違えるはずもなかった。数ヶ月前に消息を絶ち、行方不明となっていたマルコシアン隊創設メンバーの1人。ジークフリートの同期にして、マルコシアン隊の戦術教官だった陸軍将校。そして、ジークフリートと共にバイルを育て上げた「もう1人の父親」。
北欧某国陸軍所属、アビス・ランバルツァー大佐。その男こそが、シェード北欧支部精鋭部隊「グールベレー」を率いていた「隊長」だったのである。
自分達マルコシアン隊を苛烈に鍛え上げていた鬼教官が、シェードに寝返っていた。薄々予感していた中、その現実を改めて目の当たりにしたバイルは、静かに唇を噛み締める。夢であって欲しかった。しかし、これが現実なのである。
「……あまりに迅速で無駄のない侵攻。この街の……この国の軍部の弱点を知り尽くしているかのような攻撃。もしかしたら……とは、薄々思ってたんだ。隊長も、皆も……俺も」
「ほう、どうやら最低限の『勘』は働いていたようだな。その落ち着きを見るに、嘘ではないようだ」
「それでも……誰1人、それを口にはしなかった。隊長達も、俺も……最後の最後まで、あんたを信じたかったからだ」
懐から取り出した、亡き恋人の形見であるペンダント。その遺品に視線を落としながら――最後の確認をするかのように、バイルは感情を押し殺して言葉を紡ぐ。そんな彼の様子を神妙に観察しながら、ランバルツァーは丸太のような太い腕を組み、鋭く眼を細めている。
「そうだろうとも。俺も、お前達ならそうだろうと信じていた。だから……この作戦は『上手く行った』のだよ」
「……ッ! ランバルツァー大佐、あんたはどうしてッ……!」
「……お前達もその身で十分思い知っただろう。シェードの改造技術は素晴らしい。この力を我が軍に取り込むことが出来れば、我々の国は真に強き国家へと生まれ変わる。誰も侵略など出来ん、最強の国となるのだ。人間を超えた改造人間……その力の前には、スパルタンシリーズなど足元にも及ばん」
「そのために……これだけのことをしたというのか。人間としての身体どころか、心まで捨てちまったのか。そんなことを言ってる、あんたが……!」
以前から、ジークフリートとランバルツァーは改造人間の是非について何度も対立していた。あくまでも人間としての矜持に拘るジークフリート。全ては「力
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