黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第4話
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――男が強くなろうとする理由なんて、いつも単純なものだ。俺もそうだった。
10年前に隊長達に拾われるまで、俺はどうしようもない札付きの悪ガキだった。そんな俺が心を入れ替えようなんて思い始めたのは……俺が育った孤児院の隣に住んでいた、3歳年上の姉貴分が居たからだ。
俺は心底、彼女に惚れ込んでいた。彼女に見合う男になりたかった。だから俺は、俺を強くしてくれる隊長達に喜んで付いて行った。その先は案の定、地獄だったけど……後悔はない。だって、10年経っても彼女は俺を待ってくれていたんだから。
マルコシアン隊の皆が、この恋路を応援してくれたおかげで……俺も変われた。歳も階級も上の皆に散々囃し立てられながら、彼女を初めてのデートに誘った時のことは……今でも昨日のことのように覚えている。
隊長達に拾われてからもずっと、周りに反抗してばかりのやんちゃ小僧だったけど……もう違う。これから俺は、恋人として彼女を守り抜いて行くんだ。その日々を、未来を、10年鍛えたこの拳で切り開くんだ。
――そう、心から信じていたんだ。
何度呼び掛けても、笑い掛けても、何も応えてくれない。俺を見つめてくれない。そんな彼女の骸を抱き締めた、この日までは。
◆
エンデバーランド中央区。その区内に位置する孤児院も他の建物と同様、無惨に破壊し尽くされていた。その跡地に辿り着いた1台のスパルタンハリケーンが停車し、エンジンの鼓動を止める。
「ここは……」
深緑の愛車からゆっくりと降りた、第6号機「SPR-06バレットスパルタン」――バイル・エリクソン2等兵は周囲を見渡しながら、かつての「故郷」に足を踏み入れていた。「仮面ライダージャンヌ」のようなスマートな印象を与えるその装甲は赤一色に統一されており、シールドを兼ねている両腕のガントレットには、マルコシアン隊のパーソナルマークである猟犬のエンブレムが刻まれている。
「……」
ベルトを操作して仮面をガシャンと開き、素顔を露わにした彼は、その端正な貌に寂寥の感情を滲ませていた。この孤児院で育った彼は10年前にジークフリート達に引き取られて以来、兵士としての訓練を受けて来た。幼少期の思い出が詰まった故郷が、恋人の生家が破壊し尽くされている光景に、かつての孤児は拳を震わせている。
「やはり……ここに来たのはお前だったか、バイル」
「……!」
その時――低く重厚な男の声が響いて来る。声が聞こえた方向に振り返ってみれば、そこには「見慣れた背中」があった。食屍鬼を描いた暗赤色のベレー帽に、シェード仕様の野戦服。その姿を見れば、シェードの戦闘員であることは一目で分かる。
だが、その野戦服を纏っているのは――ジ
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