黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第3話
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したというお前の初心に……迷いは無いのだな?」
「愚問ですな。この国は悪戯に変化を恐れ、改造人間という純然たる『力』を無策に拒絶している。それでは時代に取り残され、いずれは他国に食い潰されてしまうでしょう。正義と平和は、それを担保し得る武力によってのみ守られる。真に強い祖国を取り戻すためならば、私はかつての部下が相手であろうと容赦はしません。そのための『グールベレー』なのですから」
「その言葉が虚勢に終わらぬことに期待しよう。……行きたまえ」
「……仰せのままに」
やがて、指揮官の冷徹な言葉を合図に。グールベレーを率いる隊長の男は、踵を返して指揮所から立ち去って行く。他の隊員達も彼の背を追うように、続々と歩み出していた。
「身の程知らずな勇者達を、俺達なりの『作法』でもてなしてやるとしよう。……行くぞ、お前達」
「……了解」
向かう先は、マルコシアン隊の「死に損ない」達が待ち受けている最前線。人類の誇りを背負い、真っ向から迫り来る彼らを迎え撃つべく――彼らはベレー帽の鍔に指を掛け、殺意に満ちた眼光を研ぎ澄ませていた。
「……ジークフリート、俺はお前達とは違う。それが正しいことであるか否かは……お前達の『戦果』で証明して見せろ」
その戦場に続く道を往く中で。グールベレーを率いる隊長は、かつての友の名を呟いている。どこか寂寥の感情を滲ませるその声色は、今生の別れを予感している男の声であった。
◆
マルコシアン隊はすでに主力メンバー5人のうち、3名が戦火の中に散ってしまった。だが、残る隊員達はそれでもなお振り向くことなく前だけを見据えて、スパルタンハリケーンを走らせている。
隊長を含め、1人でも多くの隊員をこの先に送り届ける。敵方の指揮官を倒せるだけの戦力を、一つでも多く届かせる。幹部クラスの怪人さえ倒せれば、自分達はどうなっても構わない。隊員達はその想いと覚悟を一つに、各々の愛車を真っ直ぐに走らせていた。
――そんな中。プレーンスパルタンことジークフリートをはじめ、残っている全隊員が前方から迫る無数の「殺気」を感知する。いずれも、これまで遭遇して来た他の戦闘員達とは比べ物にならないほどに強烈な覇気。間違いなく、ただの戦闘員ではない。
「……ッ! 隊長……!」
「どうやら……まだ俺達を進ませてはくれないようだな」
ついにシェードも、自分達の進撃を阻止するための「切り札」を解禁したのだろう。そう確信した隊員達は仮面の下で剣呑な表情を浮かべ、プレーンスパルタンの背に声を掛ける。先頭を走るスパルタンハリケーンに跨り、廃墟の街を駆ける隊長は神妙な貌を仮面の下に隠し、厳かに呟いていた。
「……隊長、ここは俺達が引き受けます。先を急いでください、この戦いを少しでも早く終わらせるた
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