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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第3話
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、唯一の遺品となってしまっていた――。

 ◆

 甚大な犠牲を払いながらも、決して立ち止まることも振り向くこともなく、敵将の首だけを目指して戦場を駆け抜けて行くマルコシアン隊。その動向を察知していたシェード強襲部隊の前線指揮所には、かつてない「緊張」が走り始めていた。

「……人間共め、往生際の悪い……!」

 指揮所に集結している「上級」の戦闘員達は、そこに設置されたレーダーの動きに眉を顰めている。彼らは皆、他の戦闘員達と同じ野戦服を纏っているが――食屍鬼(グール)を描いた暗赤色のベレー帽が、並の戦闘員達とは異なる「次元」の住人であることを示していた。彼らの袖には、その怪物をモチーフにした部隊章が縫い付けられている。

「……あの鉄屑共、ここぞというところで嫌な底力を見せて来たな。これほどの進行速度ならば、指揮所(ここ)に到達するのも時間の問題だぞ」
「奴らの外骨格は装甲強度こそたかが知れているが、一部の連中の火力と運動性能に関しては馬鹿にならん。甘く見れば俺達とて、タダでは済まん相手だ」
「万一、奴らが俺達の肉体をも穿てる火力を持っているとすれば……殺傷能力においては事実上、『互角』ということになる。俺達は奴らの装甲など軽く貫けるが、奴らもそうであるならば条件は実質同じだ」
「つまり、どちらが先に『決定打』を与えられるか。その『技術』のみがモノを言う、ということだな。ふっ、まるで西部劇(ウエスタン)の早撃ち対決だ」
「しかし敵方の数も確実に減っている。こちらの被害もすでに当初の予測を遥かに越えている状況だが……先に全滅するのは、間違いなく奴らの方だ」
「だが、楽観視は出来んぞ。開戦当初の話ならばともかく……あの無謀な突撃が始まってからは、まだ3人程度しか()れていない。あれほど残っている連中を今から殺し切るのは……些か、骨が折れるぞ」

 所詮は未熟な科学力で造り出された粗悪な紛い物。そう侮っていたスパルタンシリーズの陸軍兵士達が、この土壇場で予期せぬポテンシャルを発揮し始めている。
 窮鼠猫を噛む、とはまさにこのことか。このまま奴らの勢いに押されていては、この指揮所に辿り着かれるのも時間の問題。そこに思い至っている上級戦闘員達は、今後の戦局を巡って口々に言い合っている。

「まさか『No.5』……『仮面ライダーG』どころか、改造人間ですらない者達を相手に俺達が動くことになろうとはな。百里の道は、九十九里をもって半ばとす。事実だけに、嫌になる言葉だ」

 簡単に倒せる相手だという「認識」を改め、静かに目を細めている上級戦闘員達のリーダー格。鋭く吊り上がった彼の「眼」は、楽な狩りではなくなったという現実を正確に見定めており、先ほどまでの「慢心」の色も消え失せていた。彼らを舐めていては、足元を掬われる
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