黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第3話
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着という名の仮面はとうに剥がれ、そこには仲間達の死に慟哭する、1人の男の「素顔」があった。
(ロスマン中尉、よくやってくれた……! ファルツ中佐、ありがとうございました……! 後は任せたぞ、皆ッ! 何としても、ジークフリート大佐を奴らの首魁の元へ……!)
ジェットスパルタンの両翼に搭載された小型爆弾。その全てを戦闘員達の頭上に振り撒き、彼は敵方の注意を自身に集めようとしている。この爆弾で倒せる、などと思ってはいない。それでも彼は大佐を、仲間達を前に進ませるため、先に逝ったレオンとヴィルヘルムに続こうとしているのだ。
だが、彼の爆弾投下を浴び続けた戦闘員達は多少の損耗はしているものの、戦闘不能にまで陥った者は1人もいなかった。ジェットスパルタンの姿を捉えた戦闘員達は示し合わせるように、同時に銃口を空に向ける。
「……ふん。頭上を取れば勝てるとでも思ったか? 笑止! まさか拡散式の小型爆弾まで使って来るとは思わなかったが……この程度の火力では我々は殺せんぞ!」
「だが……文字通り爆弾を抱えている貴様自身に対しても、そうとは限らない。……その意味が分かるな?」
「くッ……!」
ジェットスパルタンの両翼にはまだ、何発もの爆弾が積まれている。それは改造人間であるシェード戦闘員達に対しては足止め程度にしかならなかったが、開発元である陸軍にとっては決して低い火力ではない。
つまり、この状態で両翼を撃たれて誘爆を引き起こされれば、ジェットスパルタンにとっては致命傷にもなり得るのだ。その「事実」を指摘する戦闘員達の言葉に冷や汗をかき、ジェットスパルタンは回避行動に移ろうとするのだが――改造人間達の超人的な動体視力から、逃げられるはずがなかった。
「……うぐわぁあぁああーッ!」
地上から放たれる一斉射撃。その凄まじい弾丸の嵐から、逃れられるほどの速度は出せなかったのである。両翼を撃ち抜かれたジェットスパルタンは、そこに積まれていた爆弾の爆発に飲み込まれると、火だるまと化して地上に墜落して行く。
そんな彼の身体から逃れるように――幼い少女の姿を写した1枚の写真が、ひらりと風に舞って飛び去っていた。間も無く8歳の誕生日を迎える、一人娘のエヴァを写した「お守り」の写真であった。
「エ、ヴァ……! 父さんは、父さんは必ずお前を……!」
守り抜く、という言葉は紡げなかった。誘爆による猛炎に飲み込まれ、肉も骨も焼き尽くされながらも、エドガーは風に攫われて行く写真に手を伸ばそうとする。そんな彼の手が止まったのは、彼の頭部が脳天から地面に直撃した瞬間であった。
瞬く間に噴き上がり、燃え広がり、周囲を包み込んで行く爆炎。その渦中に消えたエドガーの身体は、もう原型も留めていない。彼の元から離れた1枚の写真だけが
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