黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第1話
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、マルコシアン隊専用の大型アメリカンバイク「スパルタンハリケーン」。激しい戦闘によって転倒していたその車体を起こした戦士達は、それぞれの愛車に跨ってエンジンを噴かし始めて行く。
クラシカルな外観を持つ深緑の車体は、すでに血と煤に塗れていた。だが、ハンドルを握る彼らの眼に恐れの色は無い。彼らの鋭い双眸は、遥か前方の敵方に向けられている。
狙うは、この巨大瓦礫の遥か向こう側で破壊活動を繰り返している改造人間軍団。その悪鬼の群れを率いている、指揮官級の怪人だ。
例え改造人間の軍団には敵わずとも司令塔さえ撃破出来れば、少なくともシェード側の命令系統には混乱が生じる。その隙に、国民の避難と攻撃部隊の再編までの時間を稼ぐことが出来る。その僅かな時間のための「捨て石」となるのが、マルコシアン隊に残された最期の使命なのだ。
「では……皆、地獄で逢おう!」
「……了解」
もはや、戦士達には一欠片の躊躇もない。愛する祖国と国民を守り抜くべく、自ら捨て駒となる道を選んだ偉大なる指導者を筆頭に。仮面の戦士達は全速力でスパルタンハリケーンを走らせると、瓦礫の斜面を一気に駆け登る。
そして豪快なエンジン音を上げ、天高く跳び上がるのだった。彼らの闘志を物語るかのように、スパルタンハリケーンのマフラーからは激しい猛炎が噴き出している。
「マルコシアン隊、突撃だッ!」
それはまさに、マルコシアン隊の運命を決定付けた、地獄への片道切符だったのである。
エネルギータンクの役割を果たしている、スパルタンシリーズのベルト「高電圧スパルタンドライバー」。そのバックルから迸る熱い電光は、消えかけた蝋燭の火が放つ最期の輝きだったのだろう。
命の輝きを眩い電光に変えて、死地を疾る仮面の戦鬼達。彼らを乗せた深緑のオートバイは、突き出された戦槍の如く敵方に迫る。
この国の未来。そして、彼らの背後に居る大勢の力無き人々。その全ての命運を懸けた、マルコシアン隊最期の突撃――「サンダーランス作戦」が決行された瞬間であった。
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