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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第1話
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そのため実戦経験も少ない最年少隊員なのだが、ここぞというところでガッツを見せる男だ。彼が装着者を担当している第5号機「SPR-05シールドスパルタン」は仮面とボディが赤で統一されており、腕部に装備された円形の盾が最大の特徴となっている。

「……よりによって、お前達までもが地獄の付添人になってしまうとはな。運命の神様という奴は、よほど俺達のことが憎たらしくて堪らないようだ」
「家族のことなら心配要りません。皆、覚悟ならとうに決めております」
「そうでなけりゃ、マルコシアン隊なんてやってられませんからねぇ」

 ジークフリートの悲嘆に暮れた呟きに対して、マスクを開いた部下達は気丈な笑みを向けている。ヴィルヘルムを含む部下達の一部は、ジークフリートに忠実な軍人であるのと同時に――1人の「父親」でもあったのだ。幼い愛娘が居る部下達を死地に連れて行かねばならない現実に、ジークフリートは独り嘆息する。

 だが、それでもやらねばならないのだ。自分達がこの現実から目を背けた瞬間、故郷たる祖国はシェードに屈してしまうことになる。自分達が逃げ出せば、もう戦える者は誰も居なくなる。ここに仮面ライダーは居ないのだから――今この戦場に立っている自分達が、仮面ライダーに代わるしかないのだ。

「……命令を出したのは俺だ。責任は取らなければな」
「えぇ、無論」
「そう来なくっちゃな!」

 ジークフリートの重い一言に深く頷き、ヴィルヘルムをはじめとする部下達は、決意に満ちた表情で互いに顔を見合わせる。隊長と共に立ち上がった彼らの外骨格は、その多くがすでに激しく損傷しているのだが、彼らの双眸に躊躇いの色はない。
 足りないスペックを個々の装備と技量(スキル)で補い、ここまで生き延びて来た者達は今、その「悪運」を使い果たそうとしていた。そうでなければ生身の人間が、文字通りの「人外」であるシェードの改造人間達に立ち向かえるはずもないのだから。

「……皆、覚悟を決めろ。ここからが我々の逆襲だ! マルコシアン隊、『変身(セッタップ)』ッ!」

 ジークフリートの「号令」と共に、仮面を被り直した全隊員のマスク上部と顎部装甲(クラッシャー)がガシャンと閉鎖された。隊長を筆頭とする生き残りのスパルタン達は、最後の「攻撃体勢」に移ろうとしている。彼らの仮面に備わっている大きな丸い複眼が、戦闘準備の完了を意味する妖しい輝きを放っていた。

 マスクの閉鎖により「変身」が完了したことで、その全身の各関節部からはブシュウと蒸気が噴き出している。エネルギータンクの役割を果たしているベルトのバックルからは、眩い電光がバチィッと放たれていた。そして彼らの視線が、近場に倒れている何台もの大型バイクへと向けられる。

 丸型のヘッドライトと深緑のボディを特徴とする
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