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仮面ライダーAP
黎明編 仮面ライダースパルタンズ 第1話
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、ここまでが限界だったのだ。国内の悪党や猛獣に対しては無類の強さを誇っていたスパルタンシリーズも、そのほとんどはシェードには通用しなかったのである。

「……まだ戦える者は居るか」

 だが。そんな絶望的な状況の中にいながら、なおも希望を捨てずに戦い続けようとする者達が居た。スパルタンの鎧を纏う僅かな生き残り達は、この国を脅かす邪悪な侵略者に一矢報いるべく、「最後の突撃」を敢行しようとしていたのである。
 例え「仮面ライダー」とは言えない「紛い物」の鎧であろうと、この力で為せることはまだ残っているのだと信じて。

「俺はこれより、この国の軍人としての最期の務めを果たす。そんな馬鹿に付き合える大馬鹿者だけが、俺の後に続け」

 全ての試作外骨格(スパルタン)の基盤となっている第1号機こと、「SPR-01プレーンスパルタン」。
 灰色の鉄仮面とボディを特徴とする、その先行試作機(プロトタイプ)を纏っている男――ジークフリート・マルコシアン大佐は、生き残った部下達に「最後の命令」を下している。それは到底作戦などと呼べるものではない、無謀の極みであった。

 異世界の戦士「仮面ライダーガッチャード・スチームホッパー」のシルエットを想起させる堅牢な外骨格は、すでに満身創痍という言葉でも足りないほどにまで深く損傷していた。その首に巻かれた、彼のトレードマークである漆黒のマフラーも、長く激しい戦闘によってボロボロに擦り切れている。

 スパルタンシリーズの試験運用をアイアンザックから任されていた、陸軍最強の精鋭部隊――「マルコシアン隊」。それは、陸軍屈指のエリート部隊「郷土防衛隊」からさらに選抜された、選りすぐりの戦士達ばかりで構成された、この国の「希望」そのもの。
 その隊長である彼は、頭部のマスクを開いて精悍な顔を露わにしている。暗い茶髪と逞しい口髭が特徴の、荘厳な美丈夫だ。遮蔽物となっている巨大な瓦礫に背を預けたまま、彼は他の生き残り達に声を掛けている。

「……愚問ですな、隊長(ボス)。我らマルコシアン隊が敵前逃亡など、万に一つもあり得ぬこと。このヴィルヘルム、地獄の果てまで共に参ります」

 そんな彼の呼び掛けに真っ先に応えたのは、このマルコシアン隊の副隊長であるヴィルヘルム・フリードリヒ・フォン・ライン・ファルツ中佐だ。
 豪奢な金髪と蒼い双眸を輝かせている絶世の美男子である彼は、代々続く名門「ファルツ家」の現当主でもある大貴族。この国の王族にも連なる高貴な血統を継ぐ、王位継承候補の1人でもある男だ。

 しかし彼は由緒正しき血を引く者だからこそ、将来の地位よりも現在(いま)の誇りを重んじている。王族にも近しいファルツ家の現当主だからこそ、ジークフリートに仕える副官として、|貴族に相応しい行い《ノブレス・オブ
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