第十四話:ローズマリー村の終焉
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ういうと少女はこっちをちゃんと認識したのか、しかし恐怖の色は拭えない。
それほどのことが――いや、村を見た時に理解できることだろう。
きっとこの子は、それを目の当たりにしたんだろうと。
「もう怖くないから、ほら――」
「――イヤッ!!」
少女に安心してもらおうと手を差し伸ばせば、少女は反射的にその手を叩いた。
自身よりも力の弱いはずのその子に叩かれた手が、ジンジンとないはずの痛みを教えてくる。
本来なら痛くないはずの手を抑え、深呼吸して戸惑う自信を抑えるように息を吐く。
「ふぅ…ここで何が起きたんだ?教えてほしいんだ」
「う、うう…うぅ…」
「お願い、教えてくれ」
何の根拠もない言葉を吐く、しかしそれを吐く内なる気持ちに嘘はない。
自分に、力があるのだから。
「ひぐっ…助けて…くれるの…?」
救いを求める声、しかしその声は自身に対してではなくまるで別の誰かの救いを求める声。
自身の力のなさと情けなさと恐怖で一杯の気持ちであろう気持ちを押し殺して少女は問う。
「――やれるだけのことをやる。だから、教えてくれ」
少女を見つめる真剣なネロの黒い眼を見つめ、少女は荒れた自分の感情が少し和らぐの感じた。
そして、目の前の少年を見て思い出すのは、嘗てこの村で遊んでくれた顔見知りであることを。
自身が、助けようとした自身に手を差し伸ばしたその手を、恐怖で一杯だったことで叩いてしまったことを思い出し、すぐに謝罪する。
「おてて…叩いてごめんなさい…」
「いいんだよ、それ程の目に遇ったんだから」
仕方ないよ、と安心させるように笑う少年を見てたら、さっきの出来事を思い出す。
目の前の少年と同じように、こちらを安心させようとした少女の笑みを。
「ネロ…お兄ちゃん?だったよね、よく追いかけっこしてた――」
「ってことはやっぱりお前、カグラか。確かシモンの妹だったよな」
「う、うん…お兄ちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃんをね…探してたの――」
少女は教えた。
「――そうか」
自身が兄を探していたことを。
「大変だったな」
村が激変していたことを。
「怖かったな」
沢山の人々の叫び声が。
「辛かったな」
そんな人々の叫び声に反し、嘲笑う声が聞こえていたことも。
「――――」
そして、自身を樽の中に隠した、勇気ある紅色の髪の少女のことも。
「――ははっ、無茶したなあ、アイツ」
優しい子だから、そういう無茶しちゃいそうだな、エルザ。
そしてきっと、本人も怖かったのだろう、泣きたかったんだろうと考えると、ネロは
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