第17話
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温存のためでしょう。いずれ始まる本格的な抗争に備えて、ね。」
「それまでは捨て駒を使っての遊撃戦術みたいなものですか。確かにいやらしいです……」
アシェンの推測を聞いてアルマータの狙いを察したフェリは僅かに嫌そうな表情を浮かべた。
「でもま、所詮は北の成り上がりよね。それくらいで黒月が揺らぐわけないんだから泰然としてればいいんだけど……それを良しとしない跳ねっ返りがいてさ。」
「それがアシェンさんの幼馴染という……」
「ようやく例の若造の話か。」
「アーロン・ウェイ、煌都育ちの19歳。東方三大流派の一つ――――――『月華流』の剣術と拳法、更には魔術まで身につけていて、腕前は天下一品。荒くれの船員たちの集団を一人で叩きのめしたなんてエピソードもあるわ。」
「それは凄そうですね……!」
「しかも”魔術”まで身につけているなんて……確か、”魔術”は異世界の人達が使える魔法のような”術”ですよね?」
「ああ。ま、俺達ゼムリア側の人間もその気になって学べば習得できるが………そのアーロンとかいう若造が”魔術”を使えるって事は、そいつの知り合いに”魔術”の使い手でもいるのか?」
アシェンの話に出て来た”アーロン”という人物の事を知ったフェリは驚き、アニエスは”アーロン”が魔術まで扱える事に驚いた後ヴァンに確認し、確認されたヴァンは頷いて答えた後アシェンに訊ねた。
「ええ。―――――マルティーナ・ウェイ。アーロンが幼い頃、今は亡きアーロンの母親――――――ユエファ小母さんがある日拾ってきた身元不明の行き倒れの女性で、事情を知ったユエファ小母さんの好意によってそのままウェイ家の人間――――――アーロンの義姉になった異世界からの”迷い人”よ。」
「”迷い人”とは?」
「”迷い人”ってのは、ゼムリアと異世界(ディル=リフィーナ)を繋ぐ正規ルートであるリベール王国に駐留しているメンフィル帝国の大使館にある異世界とゼムリアを繋ぐ転位門を使わず、何らかの要因によって原因不明の”転位”に巻き込まれた連中の事だ。異世界からゼムリアもそうだが、極稀にゼムリア側から異世界に”転位”した人物もいるという例もあるらしい。」
「そんなことが………それで、その”迷い人”であるマルティーナさんという方がアーロンさんに魔術を?」
アシェンの口から出て来た初耳の言葉に首を傾げているフェリに説明したヴァンの話を聞いたアニエスは目を丸くした後アシェンに訊ねた。
「ええ。マティ姉さんは義理の弟になったアーロンもそうだけど、アーロンの幼馴染のあたしの事も本当の妹のように親しくしてくれてね。例えばアーロンと一緒に魔術を教えてくれるなんてこともしてくれたわ。」
「へ
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