服従させる魔法《アゼリューゼ》
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
魔力を走らせている。その様子に、アウラと名乗ったサーヴァントは一瞬驚きを露わにし出す。
「へえ……」
ハルトの体は徐々に自由を奪い返していく。
ゆっくりと。少しずつ。
だが。
「いいじゃない。気に入ったわ。この世界での私のお気に入りにしてあげる」
彼女は、手にした刃を振るい上げた。
ウィザーソードガンで防御するのも間に合わず、それはハルトの首元に食い入る。
「ぐっ……!」
アウラの腕を掴み、抵抗する。
だが、彼女の術中にいる今、ファントムの魔力を駆使したところで、彼女へ抵抗できる力などたかが知れている。
「こんなものに……負けるか……!」
「あはっ! あははははっ! いいじゃない! ほらほら、もっと抵抗してみなさい!」
赤い眼のハルトへ、アウラが声を上げた。
「ハルト! しっかりしろ!」
「シールドレイ!」
横目では、コウスケとえりかがゾンビをかきわけてなんとか助けに入ろうとしているのが目に入った。
だがゾンビたちの数は並みではなく、えりかの遠距離攻撃もゾンビの壁に阻まれて届かない。
「ぐっ……あああああっ!」
刃がより深く、ハルトの首筋に食い込んでくる。
「頑張った頑張った。でも、たかが人間、その他化け物ごときに、私の魔力に勝てるわけないのよ」
その言葉通り、たとえファントムの全力を使ったところで、おそらくアウラの魔力には太刀打ちできない。
もう限界。
そう、ハルトが感じた時。
「……ん?」
一瞬、アウラの気が反れた。それで彼女の魔術が弱まるわけではないが。
「雪?」
この初夏も近いこの時期に、雪。
それは、決定的に大きな状況の変化ではないか。
「雪……」
その存在を認識した途端、急激な吹雪がキャンパスを包んだ。
ゾンビたちは瞬時に氷漬けとなり、砕ける。
えりかが盾を大きく展開し、コウスケと結梨を守る。
アウラは飛び退き、ハルトは拘束が解かれたと同時に全身から炎を発し、吹雪から全身を防御する。
そして。
「……気に入らんな。アウラ」
その声。
自由になった体を支えながら、ハルトはその声がした方を見上げる。
暗い夜の闇を、白く染め上げる女性。白いローブに身を包み、その頭上にウサギのような耳を生やしたその者は。
「あら。誰かと思えば、フロストノヴァじゃない」
アウラは詰まらなさそうに吐き捨てる。
フロストノヴァ。氷を操る、ゲートキーパーのサーヴァント。
「アウラ……ついに獣以下に成り下がったか」
彼女は吐き捨てると、手を振るう。すると、彼女の手の先にいたゾンビたちが、一気に氷漬けとなる。
さらに、彼女がもう一度腕を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ