服従させる魔法《アゼリューゼ》
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オレンジの竜巻へ取り込み、その中に捕らわれているゾンビたちを一気に焼き焦がしていく。
だが。
「無駄よ」
ようやく、目の前の少女が口を開いた。
「やるなら、魔法を解除するか、全身を焼き尽くすくらいじゃないと。それ程度で動きは止まらないわ」
ピンク髪の少女は、天秤を胸の高さにしながら続けた。
すると、彼女の言葉通り、黒一色になったゾンビたちが再び動き出す。
「お前……!」
「その手、参加者のようね?」
「……っ!」
彼女の目線の先は、当然ハルトの右手の令呪。
ハルトは即座にウィザーソードガンをソードモードに切り替え、少女へその刃を振るう。
だが冷笑しながら、彼女は飛び退く。
ハルトと開いたその距離間を、ゾンビたちが一気に敷き詰めていく。
「まだ……」
「どんどん増えてます!」
今度はえりかの叫び声。
すでに腰に盾を装備した彼女の周囲にも、ゾンビが次々に現れている。結梨を庇いながら、その盾を回転させ、ゾンビたちを薙ぎ倒している。
「素晴らしいじゃない。ここ」
少女は大学の建物を見渡しながら呟いた。
「ここまで死体が転がっているなんて。しかもご丁寧に、私の魔力で動かせる状態に残している。ここは実験施設なのかしら?」
「ここに……転がっている?」
えりかが眉を顰める。
だが少女は、手にした天秤をハルトへ向けた。
すると、ゆっくりと、天秤は傾く。
「へえ……すごいじゃない。あなた、マスターにしては魔力があるのね」
「……っ!?」
その途端、ハルトの体に異変が起こる。
「体が……動かない……!?」
「ハルト!? どうした!?」
「松菜さん!?」
だが、ハルトの体は服従を示している。
少女へ膝を折り、首を垂れていく。
「これは……!?」
「無駄よ。私にこれで勝てる奴なんて、そうそういないのだから」
勝ち誇ったような笑みを浮かべ、彼女はその手にした天秤を突き出す。
片方に大きく傾いたそれ。もはや揺らぐ余地のないとばかりに、それは微動だにしない。
「ぐ……っ」
「だから無駄よ。マスターごときの魔力量で、どうにかなると思う?」
彼女は、ゆっくりと天秤を振った。
「服従させる魔法。私達の魂を乗せて、それが持つ魔力が大きい方が相手を操れる私の魔法。確かに参加者にしては多い方だけど、私にはとても敵わないわ」
「お前……も、参加者か……!」
「ネクロマンサーのサーヴァント、断頭台のアウラ。これからあなたは、未来永劫私の僕になってもらうわ」
「お前の好きには……させない!」
ハルトはそう言って、顔を上げる。
その眼は赤く、全身には膨大な
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