第二章
17.サマルトリアの王子(2)
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ていた状態でイオナズンをまともに食らったはずであり、盾で防御も間に合わなかったはず。なのに、起き上がった。ふらつきなどもない。
「マホトーンがまだ効いてるフリをしてたのか。やられた」
「ワシは耐性があるのでな。かからないか、万一かかってもすぐ解ける。まあ、予定ではこれで大逆転勝ちのはずだったのじゃが……」
「残念だったね。じゃ、接近戦でいくよ」
大爆発を起こす魔法は至近距離では使いにくい。サマルトリアの王子がサッと距離を詰めて剣を振っていく。
「むぅっ」
老アークデーモンも熟練した技術で対応するが、やはり速さが違いすぎる。三つ又の槍は当たらず、細身の剣は着実に大きな体を痛めつけていく。
「ぅ……」
すでに大ダメージを負っていた体はすぐに限界を迎え、がくりと膝をついた。
やはり斬り合いでは速度差で勝負にならない。
「まだオレも生きてるぞっ」
横からバーサーカーの少女が斧で再参戦。それをサマルトリアの王子は盾で受けた。
そのまま彼女は斬り合いに持ち込むも、やはりダメージ蓄積のせいで動きに精彩を欠く。
「そんな体じゃ、もうよけられないでしょ」
そう言いながら、サマルトリアの王子が一振り、二振り。
「あっ! ああ゙っ!」
もう一振り、二振り。どんどん斬撃をきめていく。
「ああ゙っ! あ゙ああ゙っ!!」
メッタ斬りにされ、飛ばされる。
着地することすらできず、石の床をゴロゴロ転がった。
「ぁ……ぅ……」
苦しそうにあえいで体をくねらせるバーサーカーの少女。立ち上がれない。肩、胸、腹部、背中と、服のいたるところが切り裂かれており、褐色の肌を露出させていた。かなりの出血も見られる。もはや戦闘不能なのは明らかだった。
「さすがにもうダメかな……わっ」
「ワシはまだいけるぞ」
後ろから三つ又の槍を出していった老アークデーモンだったが、気配で気付かれ、かわされた。
「そっちもそろそろ限界に見えるけどなあ」
「ぬおっ」
老アークデーモンの体からも、血が派手に噴き出す。
サマルトリアの王子の動きについていけていないため、斬り合えば斬り合うほど傷が増えていく。
そしてついに。
「ぐ……」
ドサッと巨体が倒れた。
「どっちも粘ったね。魔物って普通そんな感じじゃないと思うんだけど。一体どうなってるんだろう」
サマルトリアの王子の視線は、床に沈んで動かないままのフォルへと向く。
「このコロッと気絶した魔術師がそんなに大事ってことかな? ということは――」
ゆっくりと、歩きだした。
「ここで確実にとどめをさしておかないと、ロスがいつまで経っても解放されないんだろうな」
剣
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