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邪教、引き継ぎます
第二章
17.サマルトリアの王子(2)
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のである。

「むっ、むむむ、うおおっ」

 しかし、炎の威力は想定を超えた想像すらも上回った。受けきれない。
 怒涛の勢いで巨体から溢れていくベギラマが、猛烈な炎の風となって後方の二人をも襲った。

「う、うああっ」

 フォルはあわててマントで受けたが、まったく受けになっていない。身を包んだマントごと炎に巻き込まれた。
 上司であり教団で屈指の魔力を誇る悪魔神官ハゼリオのベギラマを見せてもらったことはあったが、明らかにそれよりも大きく、激しい炎。
 そしてあまりに強い火力は、そう思うことすらすぐに許さなくなった。

 炎がやむ。

「ぅ…………」

 フォルは倒れて全身を痙攣させると、すぐに気を失って動かなくなった。 

「う……くっ……」

 同じく炎にやられたバーサーカーの少女は、一度立ち上がったが、すぐに片膝をつく。

 老アークデーモンは倒れていない、が、当初の位置よりだいぶ後ろにいることが炎の圧を物語っていた。頭から尻尾まで、全身から煙をあげている。

「恐ろしい受け方するね。炎が広がる前に自分の体で止めてしまえってことか。そんなの初めてだよ」
「……ロンダルキアの未来がかかっておるからの」

 ヨロっと三つ又の槍を構える老アークデーモン。
 体力のある種族といえども、相当なダメージとなっていた。

「そんなボロボロで勝ち筋はあるのかな」
「呪文を封じられようが槍が使えなくなろうが戦うわい。勝ち筋があろうがなかろうが戦わねばならんときはある。それはおぬしもよく知っておろう」
「あ、それはそうだ。すごく失礼なことを言っちゃった。ごめんよ」

 サマルトリアの王子の剣に、ふたたび炎がまとわりつこうとしていた。

「二度目は耐えられなそうだよね。これで決まりかな。ベギ――」
「イオナズン!」
「えっ!?」

 呪文が封じられたはずの老アークデーモンの詠唱。
 サマルトリアの王子の頭上に強く輝く火球が現れ、大爆発を起こした。

「うあっ」

 爆音に交ざり、サマルトリアの王子の声も響く。
 ベギラマのものとはまた違う爆風が、大灯台最上階に吹き荒れた。

 いつの間にかシェーラが倒れたままのフォルの前で盾を構え、低い姿勢をとっていた。尻尾でイオナズン発動の合図が出ており、それを彼女がしっかりと見ていたのである。

 爆発がやみ、また静寂が戻った。
 それに遅れ、あたりを満たしていた煙も晴れていく。

「……!」

 老アークデーモンの目が見開いた。
 倒れていたサマルトリアの王子がすぐに起き上がったからだった。

「いや、まいったな」

 ほこりを払いながら、ぼやくように言う彼。
 さすがに余裕綽々という感じではないが、完全に油断し
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