第16話
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市街に支社を開きました。それ以降、関係者と思しき者達が度々、挑発するような嫌がらせを仕掛けています。中には酷い諍いに発展することもありまして、いささか見過ごせぬ状況かと。」
「裏勢力同士の話だ、勝手に潰し合ってりゃあいいだろ。」
「これは手厳しい――――――ですがヴァンさんも我々の果たす役割についてはご存じの筈。”バランサーとしての我々”になら少々手を貸していただく余地はあるのでは?」
「………チッ………」
「それって……」
「ばらんさー、ですか?」
チョウの話を流そうとしたヴァンだったがチョウのある指摘を耳にすると舌打ちをし、アニエスは目を丸くし、初めて聞く言葉にフェリは不思議そうな表情を浮かべた。
「”黒月”は言わばカルバード両州における裏社会の顔。我々は秩序を重んじます。無論、法の範疇にないようなことに手を出していることは否定しませんが……”はっきりと一線”を引いています。度が過ぎるようなことを”黒月”は”掟”で禁じているのです。例えば……依存性の高いドラッグの流通や、人身売買のような、ね。」
「ッ………!」
チョウの説明を聞いたアニエスは思わず息を呑んだ。
「同時に、目を光らせて他の非合法組織にも同じ掟に従うよう”協力”してもらっています。カルバードの裏社会の秩序は、昔からこうして保たれてきました。」
「組織としての格上の”黒月”に他の小規模組織も逆らえないと……」
「警察やギルド以外に、”黒月もまたカルバード両州の秩序の一部”……ですか。もしかして、メンフィル帝国が南カルバード州の総督府を煌都に設置しなかった理由の一つは………」
「ふふ、その通りです。メンフィル帝国も昔から”カルバードの秩序”を担っている我々への”配慮”として、南カルバード州の総督府を南カルバード州最大の都市である”煌都”に設置する事を避けて頂いたようなのです。流石はヴァンさんの助手さん方、ご理解が早くて助かります。」
自分の話を聞いてそれぞれ黒月の事を理解したフェリとアニエスに感心したチョウは笑顔を浮かべて二人を賞賛した。
「い、いえ……」
「―――――と言っても、さっきの話はあくまで数年前までの状況、だな。」
「ええ、ここ数年で急速に力をつけてきた”アルマータ”は我々の掟を無視しています。明らかに一線を超えた数々の悪行――――――我等との全面対決を辞さない姿勢でしょう。つられた、他の幾つかの小規模組織までも”掟”に反発し始めていましてね……まあ、それらの有象無象は正直大した問題ではありません……今はまだ。ですが、万が一”黒月”が”アルマータ”との抗争に敗れれば――――裏社会のルールが完全に書き換わり、文字通りの”無法地帯”となるでしょう。それがどういう未来な
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