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色々と間違ってる異世界サムライ
第21話:勇者の計算外その4
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お客さん、街に入りますが買う物はありますかい?」
「ちょうどいいじゃん! 飯にしようぜ!」
大食らいのネイが復活して騒ぎ出す。
ぎゃーぎゃー五月蠅い女だ。
近くにいるだけで気が滅入る。

「はぁ!?デルベンブロが討伐された!??」
僕はこの街の町長から話を聞いて愕然とする。
まただ、また先を越された。
始まりは魔王軍幹部を退治された時からだ。
あそこから僕の歯車が空回りし始めた。
もっと言えば、ツキツバに聖剣を奪われたあの時からだ。
おかげで僕の人生設計が粉々だよ。
勇者になって、女共を侍らせて、地位や名声や金をほしいままにし、ゆくゆくはバルセイユの姫君と結婚して国を乗っ取るつもりだったのに。
あの小さな村からここまで来るのに、どれだけ苦労したと思っているんだ。
何がいけなかった。
何をしくじった。
何で失敗した。
分からない。
原因がまるで思い浮かばない。
僕は人目もはばからず両膝を屈した。
だが、僕にはまだ聖剣がある!
だからこそ確認しておかねばならない事がある!
「そのツキツバ・ギンコはどこに?」
「既にノーザスタルを出られたとは存じております。噂ではバルセイユに向かったとだけ」
つまり、もうノーザスタルにはいないと言う事だな。
流石に聖剣を2本も3本も要らないか……
……取り敢えず腹ごしらえだ。
「あそことか美味そうじゃん!」
「どうするセイン?」
「別にいいんじゃないかな。腹に入ればどれでも同じだろうし」
「あら、変った匂いの店ですね」
食事処に入り注文する。
テーブルに並んだのは見たこともない料理ばかりだった。
油で揚げられた虫。
鋭い牙を生やした川魚。
三本指の何かの腕の丸焼き。
赤いスープに浮いた目玉。
こ、これが、ノーザスタルの料理なのか?
「意外にいけるじゃん。この虫さくさくしてる」
「うえぇ」
ネイは何でも食う奴だったな。
虫をむしゃむしゃする姿を見ると、もう抱ける気がしない。
こいつは近いうちに捨てよう。決めた。
ソアラとリサはパンとサラダを食っている。
僕も無難にそっちにすれば良かった。
「なんだよセイン、自分で頼んでおいて食わないのかよ」
「うぐっ」
し、しかたがない、ここは我慢をして食ってやろう。
僕は歴史に名を刻む勇者だ。
この程度で物怖じなどするはずがない。
「あれがノーザスタルの神殿ね」
「まだ聖剣はあるでしょうか」
「ふぅうう、ふぅううう」
「どうしたんだセイン?」
「……今は話しかけるな」
先ほどから腹がぎゅぎゅるしている。
気を抜けば全てが一気に飛び出してしまいそうだ。
だが、ここで用を足しに行く訳には行かない。
ようやくここまで来たんだ。すぐに確認したい。
僕が聖剣を抜けるかどうか。
いや、抜け
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