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夢幻水滸伝
第三百三十九話 境を接してその四

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 同じ頃スタインベックはラスベガスで難しい顔で腕を組んで言っていた。
「農業をもっとしたいけど」
「浮島では出来ていますが」
「州の本土ではですね」
「それが難しいですね」
「このネバダ州は荒れ地ばかりや」
 会議の場であったが出席している官吏達に述べた。
「そやからな」
「農業には適していませんね」
「本土は」
「川が流れておらず湖もありません」
「降水量も少ないです」
「そうした地域が多いので」
「難しい、どないしたものか」
 難しい顔で言うのだった。
「ほんまに」
「そこが問題ですね」
「ネバダ州で農業を行おうと思うと」
「どうしても」
「幸い州上空の浮島はどれも水が豊かで土地も肥えてるから」
 そうした浮島ばかりだからだというのだ。
「そっちで農業出来てるけどな」
「それでもですね」
「本土についてはです」
「そうした状況ですね」
「そやからな」 
 だからだというのだ。
「運河や人工湖をもうけてな」
「そうして水資源を確保し」
「そのうえで、ですね」
「農業を行いますね」
「そうしよかと思ってるけどな」
 それでもというのだ。
「予算も人手も足りへんわ」
「そうですね」
「そのことが問題ですね」
「運河や人工湖は他の産業の水源にもなりますし」
「市民の生活にも役立ってくれます」
「ですから多く造りたいですが」
「そうしようと思っても」
 官吏達も難しい顔で述べた。
「お金が足りないですね」
「それに人手も」
「どうにも」
「そや、何かな」  
 スタインベックは難しい顔のまま官吏達に話した。
「わいだけやとな」
「スタインベック様だけではですか」
「限界を感じておられますか」
「そうなのですか」
「仲間が欲しい」
 こう言うのだった。
「力を合わせてな」
「共に治められる」
「そうした方が欲しいですか」
「今のスタインベック様は」
「そう思ってるわ」
 こう言うのだった。
「ほんまな」
「そうなのですね」
「スタインベック様としては」
「左様ですね」
「そや、一つの州やと出来ることに限界があるが」
 今話している様にとだ、スタインベックは今度は深刻な顔で話した。
「しかしそれがや」
「二つ三つになるとですね」
「出来ることが多い」
「そういうことですね」
「一と一を足したら二になるが」 
 こうも言うのだった。
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