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ドリトル先生と不思議な自衛官
第六幕その六

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「日露戦争で日本は勝って戦争は儲かると錯覚したと言っているんだよ」
「ははは、私もそうした発言は聞いていますよ」
 ここで案内役の堀与さんが笑って言ってきました。
「それで好戦的になったと」
「そうですね」
「その発言だけで」
 堀与さんは先生に言いました。
「学者失格ですね」
「歴史学を学ぶにあたって」
「とんでもない間違いです」
「実際は、ですね」
「あの戦争は確かに勝ちました」
 日本が、です。
「まあ勝ったことになっているとか言う作家もいるそうですが」
「ですね、あの人も変わらないです」
「そうした学校の先生とですね」
「書いている内容があなりにも劣悪で」
 その為にというのです。
「多くの読者が離れました」
「それも当然ですね」
「執筆も遅く数多くの作品を長年放置して」
 そしてというのです。
「たまに出した作品がそのレベルでは」
「見捨てられますね」
「そして最近は慌てて作品を完結させていっていますが」
「その質はですね」
「やはり書いていませんから」
 どうしてもというのです。
「質は落ちます」
「そうですか」
「はい、そしてそうしたことを言う教授さんはですね」
「全く学んでいないか」
 若しくはというのです。
「まともな学問を一切していない」
「学者でありながら」
「どちらにしても学者と呼ばれるレベルに達していない」
 そうしたというのです。
「どうにもならない人ですね」
「事実は違いますね」
「薄氷とはいえ勝ちましたし」
 日露戦争で日本はです。
「外交努力もして」
「アメリカの仲裁と取り付けて」
「そして勝っているところで終わらせた」
「ロシア内部も混乱させて継戦能力も奪って」
「そうして勝っています、ですが」
 それでもというのです。
「借款がです」
「莫大なものになりましたね」
「当時の日本の国家予算の数年分でした」 
「日露戦争の戦費は」
「高橋卿が借りてくれました」
「高橋是清さんですね」
「そうでした、ですが」
 それでもというのです。
「当時の日本にとってあまりにも莫大な戦費で」
「しかもロシアから賠償金は得られなくて」
「非常にです」
「負担が大きくですね」
「戦争の後が大変でした」
 勝ったことは事実にしてもというのです。
「そうでした、出来れば戦争自体をです」
「避けたかったですね」
「勝てるとも思っていなかったので」
 ロシアにです。
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