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神々の塔
第六十話 酔いどれ詩人その三

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「そのうえでや」
「利用せんとするな」
「そんな奴もおるわ」
「言葉、耳でも人は惑うな」
 今度は施が言ってきた。
「人は」
「そやな」
 メルヴィルは施のその言葉にも頷いた。
「ほんまにな」
「目に耳にな」
「五感全部がな」
 まさにその全てがというのだ。
「時としてな」
「惑わされるな」
「それも生きてるからや」
 そして感じることが出来るからだというのだ。
「それでや」
「惑わされるな」
「この階でもな」
「そういうことやな」
「そして」
 それにというのだ。
「大事なんは見てもな」
「それにやな」
「気を取られんことや」
 絶対にというのだ。
「下手にな、余裕を以て」
「見ることやな」
「そして真実をな」
「見ることやな」
「惑わされるってことはや」
「真実を見てへんな」
「変にヘイトや選民思想を煽る奴も」
 所謂アジテーターである、これを煽れば確かに騙される者がいるが逆に言えば人を騙す輩はこうした手段を用いると考えていい。
「ちゃんと見るとな」
「嘘やってわかるな」
「こうした奴は証拠も出さん」
 施は断言した。
「出しても嘘や」
「それで騙しにかかるな」
「証拠を出さんで言うか捏造を言うなら」 
 そうであるならというのだ。
「そいつは百パーセントや」
「ペテン師やな」
「そしてや」
「そして?」
「そういう奴の取り巻きは手段を選ばんやろ」 
 施はトウェインにこのことも話した。
「平気で嘘も工作もや」
「してるな」
「自分達が絶対正しいと思って」 
 そう信じる、盲信してというのだ。
「騙されてるとも知らずな」
「気付かずにやな」
「それでや」
「工作もするな」
「嘘も吐いてな、敵とみなしたらや」
 自分達のそれであるとだ。
「もうな」
「それこそやな」
「嘘を吹聴して」
「相手を貶める工作もやな」
「やる、そしてや」 
 そのうえでというのだ。
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