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第百二十話 客家その八

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「言うわよ」
「最低ね」
「自分しかないから」 
 そうであるからだというのだ。
「差別も平気だし」
「そんなことも言うのね」
「そう、自分に対してどうかなのよ」
「日本に対して」
「確かに日本はいい国だけれど」
 そうであるがというのだ。
「その日本と自分をね」
「ああ、同一視していて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「自分を嫌いと見たら」
「けなしてくるのね」
「それで自分を好きだから」
「贔屓するってことね」
「そんな連中なのよ」
「何かね」
 台湾の娘はここまで聞いてこう言った。
「別にね」
「別に?」
「ものの数にならない連中ね」
「ああ、幾らいても」
「しょうもないね」
「碌でもない連中で」
「幾らいても」
 数は多くともというのだ。
「何の役にも立たない」
「そうよね、私もそう思うわ」
 富美子もその通りだと答えた。
「お姉ちゃんに言われたのよ」
「あんた大学生のお姉ちゃんいるわね」
「うん、自分しかない奴はね」
 そうした輩はというのだ。
「人を利用するしないで見て」
「それで好き嫌いね」
「それだけで見てね」
「相手のことを考えないのね」
「それで利用出来ない、嫌いになったら」
 その時にというのだ。
「口汚く罵って」
「攻撃してくるのね」
「そうなのよ、それでそんな奴は何の努力もしなくて」
 そうであってというのだ。
「同じことばかり言って」
「進歩しないのね」
「それでずっと自分は偉いと思って」
「ふんぞり返って」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「自分のちっぽけさも知らないか見ない様にしているから幾らいてもね」
「何でもないのね」
「数の採決になっても」
 民主主義ではこれが基本である、塵も積もればという論理で投票等においてそれなりの数になることも事実である。
「多そうで実はね」
「少ないの」
「声だけ大きくて」
 ただそれだけでというのだ。
「案外ね」
「少ないの」
「大抵の人は努力して」
 そうしてというのだ。
「色々なことがわかってね」
「進歩するのね」
「そして台湾のこともね」
 彼女の故郷のこともというのだ。
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