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とある3年4組の卑怯者
131 罪悪感
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君、落ち着いてください。こんなことになったのは藤木君のせいじゃありませんから安心してください」
「はい・・・。そうだ、堀内や隣町の親分達はどうなったんですか?」
「今警察に連れて行かれ、事情を聴いています」
「そうでしたか・・・」
「藤木君、学校は今日の問題で児童達は急遽(きゅうきょ)全員下校させる事になったので、学校からランドセルを取ってきて帰って大丈夫ですよ。笹山さんについてはお母さんに電話しましたので後は私と笹山さんのお母さんで様子を見ます。藤木君、ここまでありがとうございました」
「は、はい・・・」
 藤木は学校に戻った。学校は閑散としていた。藤木は誰もいない3年4組の教室に入り、ランドセルを取って帰った。だが両親とも働きに出かけているため、家にはいない。昼食はどうしようかと考えた。
「そういえば、御飯どうしよう・・・。出前で何かとるか・・・」
 家に着いた所、一台の車が止まった。ヒデじいの車だった。車の窓が開き、花輪が顔を出す。
「Hey、藤木クン」
「花輪クン・・・。どうしたんだい?」
「君の両親はお仕事でいないってリリィクンから聞いたんでね、寂しいだろうから僕の家でlunchはいかがかい?」
「いいのかい?」
「ああ、もちろんさ」
「ありがとう、花輪クン!」
 藤木は花輪に感謝した。ヒデじいの車によって藤木は花輪家に向かい、昼食を御馳走になった。あまり食べない料理を食べたが、藤木は笹山が心配でならなかった。そしてスケートを続ける事に疑問を感じてきた。自分の周りの人間が次々と傷つけられていく事に藤木は耐えられなかったのだ。自分がスケートの地区大会に参加している間に永沢が殺されかけ、堀が彼女の学校で凄惨ないじめを受けていた事に気付けず、今日だって山根の救出を優先して笹山を生死に関わる状態に追いやってしまった。こんな自分は本当にスケートを続けていていいのだろうか?藤木は悩みだした。
「藤木クン、大丈夫かい?もしかして笹山クンが気になっているのかい?」
 藤木が顔を曇らせているので花輪が心配になって聞いた。
「うん・・・。僕があの時、笹山さんに言われて山根君を運び出すことを優先させたから笹山さんが逃げ遅れてあんな目に遭ってしまったんだ・・・。僕が悪いんだ・・・!!」
 藤木は泣き出した。
「まあまあ、それなら後で笹山クンのお見舞いをしようじゃないか」
「う、うん・・・」
 その後、藤木はもう一度、花輪にヒデじいと共に笹山が手術を受けた総合病院へと向かった。ヒデじいの車に乗っている途中、藤木はある決断を己に下していた。
(笹山さん、僕は約束を破った・・・。僕には君を好きになる資格なんかないよ。それから、僕は全国大会は・・・)

 そして、50分〜1時間が過ぎ、手術は終了した。笹山は死なずに済んだのだった。
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