第三百三十八話 幻術師の活躍その十三
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「私が既婚者であることが」
「あの、どういうことですか?」
「私が独身ならです」
そうであるならというのだ。
「ミニー様に告白していました」
「えっ、私にですか」
「はい、立派な方ですから」
「いや、私奥様に惚れられる様な」
「そうした人ではないですか」
「この世界殆どのとこで同性愛に抵抗ないですけど」
ごく自然なこととして認識されている、この世界の特徴の一つである。ただしミニーは否定しないが趣味ではない。
「そやけどそんな」
「私にはですか」
「とても釣り合いません」
「そうお考えですか」
「はい」
まさにというのだ。
「とても」
「ミニー様はそうお考えでもです」
貴婦人はそれでもと答えた。
「非常に魅力的な方ですから」
「そうですか」
「結婚していなければ」
またこう言うのだった。
「まことにです」
「私に告白して」
「そしてです」
「交際してましたか」
「ミニー様さえ宜しければ」
「私そんな魅力あります?」
「企業経営を通じて州の人達の為に心を砕かれ」
彼等の為にというのだ。
「そして結果を出されかつ功を誇らない」
「そうしたところがですか」
「魅力です」
「そうですか」
「私が見た中で二番目に魅力的な方です」
「ほな一番は」
「主人です」
微笑んでの即答だった。
「まさに」
「ああ、そういうことですか」
「はい、ですから」
「独身やとですね」
「ミニー様に告白していました、ただ結婚していますと」
今度はこう言ったのだった。
「やはり貞節はです」
「守らんとあきませんか」
「神に誓って」
そのうえでというのだ。
「そうしなければ。尚私はキリスト教はカトリックです」
「そちらですか」
「左様です」
「信仰からもですね」
「貞節は護ります、そしてミニー様にです」
あらためて言うのだった。
「これからもです」
「助けてくれますか」
「そうさせて頂いて宜しいでしょうか」
「お願いします」
これがミニーの返事だった。
「私もです」
「私をですか」
「お話聞かせてもらって」
そうしてというのだ。
「頼らせてもらってます」
「そうですか」
「奥さんのお話も」
オーナーそして美容師と共にというのだ。
「これからもです」
「聞いてくれますか」
「そうさせてもらいます」
「では宜しくお願いします」
「ほな」
笑顔でだ、ミニーも応えた。そうしてだった。
ミニーはユタ州を統一した勢力の棟梁として動きはじめた、それは一つのはじまりであることは彼女がそれから知ることだった。
第三百三十八話 完
2024・1・15
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