第五幕その八
[8]前話 [2]次話
「これが随分とです」
「よくなかったですか」
「お話は聞いていました」
イギリスのお食事のことをです。
「それがです」
「お話通りでしたね」
「ご自身で言われますか」
「はい、そう思いましたので」
実際にというのです。
「その様に」
「イギリスのお料理は有名だからね」
ホワイティが言いました。
「まずいってね」
「海軍のお食事は兎も角」
ポリネシアも言います。
「普通のお食事は酷いものよ」
「もうどれだけまずいか」
ジップはそれこそと言いました。
「世界的に有名だからね」
「実際に日本に来て痛感してるよ」
ダブダブは食いしん坊として言います。
「イギリスのお食事は酷いよ」
「いや、火加減も味付けもね」
トートーはどちらもと言いました。
「なってないよね」
「どんな素材でも生かしきれないね」
「そうよね」
チープサイドの家族から見てもです。
「どうにもね」
「どんなお料理でもね」
「メニューも酷いわね」
ガブガブはきっぱりと言いました。
「何それっていう様な」
「他の国から見ると」
チーチーはそこに日本を入れてお話します。
「とんでもないものもあるよ」
「だからイギリス料理っていうとね」
老馬はそれはと言いました。
「まずいっていうのが代名詞になってるね」
「流石に美味しいお店もあるけれど」
「シェフの人がちゃんとしてて」
オシツオサレツは二つの頭でお話します。
「けれどね」
「そうしたお店でないとね」
「彼等は何を言っているのでしょうか」
堀与さんは皆が言ったことを聞いて先生に尋ねました。
「一体」
「あっ、生きものの言葉はですね」
「私はわかりません」
「そうですね、実は」
先生は皆が言ったことをそのまま通訳して説明しました、すると堀与さんは笑ってこう言ったのでした。
「ああ、夏目君もおそらくは」
「夏目君といいますと」
「夏目金之助君です」
「夏目漱石さんですか」
「おわかりですか」
「あの人についても学んだことがありまして」
それでというのです。
「松山にも行ったことがあります」
「そうでしたか」
「あの人もイギリスに行かれていましたね」
「随分塞ぎ込んでいたとです」
堀与さんはこう返しました。
「聞いています」
「そうらしいですね」
「おそらく食事も」
「合わなかったのですね」
「ジャムやアイスクリームはよかった様ですが」
お口に合ったというのです。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ