第三部 1979年
姿なき陰謀
隠然たる力 その4
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米ソ対立という冷戦構造化で、東西に分割されたドイツ国家。
双方の国民の多くは、統一を望んでいたし、また東側のSEDも、西側のSPDも統一を理念に掲げていた。
だが統一という夢は、実のところ、同床異夢であった。
SEDの望んだ統一は、社会主義による統一ドイツであり、統制経済をそのまま存続させることであった。
SPDの望んだ統一は、西ドイツによる併合で、最終的に欧州における経済超大国を作り上げることであった。
また米ソの狙いも違った。
米国は、統一ドイツをNATOの一構造として、巻き込み、対ソ防衛権の一翼を担わせる心づもりであった。
他方、ソ連は、統一ドイツの非武装中立化を望んでいた。
ドイツを管理する4大強国の狙いは、全く違うものであった。
米ソの狙いは、最初から統一ドイツの存在を両勢力の緩衝地帯にすることであった。
英仏の狙いは、分割に乗じて、二度と統一ドイツという存在を復活させないことであった。
すでに1970年代後半から人口減少期に入り、少子高齢化の始まっていた西ドイツ。
彼等は、移民労働者を入れなければ、その経済規模も、人口規模も維持できないところになっていた。
東独も、既にその傾向は見え始めていた。
だが、出産を奨励する制度や母子家庭への援助で、何とか人口数を1600万に維持していた。
英仏の狙いとしては、西ドイツを今のままにしておけば、いずれ人口減に陥り、欧州の責任ある立場は果たせなくなるという考えであった。
特にフランスなどは、西ドイツ憎しのあまり、飛ぶ鳥を落とす勢いで経済復興を成し遂げ、世界のGDP2位になった日本を擁護するような姿勢さえ、みせることもあった。
もちろん、日仏間での諍いはなかったわけではない。
先次大戦での仏印進駐の経緯は、講和条約の際にもめる原因となった。
だが、それ以上に、ドイツ国家の拡大を心から畏れたのだ。
故に、マサキの今回の提案を、仏首相は快く受け入れた節があった。
異世界に天のゼオライマーという超マシンを駆って、颯爽と現れた木原マサキ。
彼もまた、ユルゲンと同じように、望まざる国際政治の世界に巻き込まれることとなってしまったのだ。
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