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冥王来訪
第三部 1979年
姿なき陰謀
隠然たる力 その3
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 昨年の夏に、種子島から打ち上げられた、国産の液体燃料ロケット、N-1ロケット。
マクドネル・ダグラス製のデルタロケットの技術提供を受けた、このロケットに搭載された火星探査衛星。
 八か月かけて火星に近づいた衛星から送られてきた写真と各種資料。
それらに目を通しながら、マサキは別な事を考えていた。
 彼の関心は、火星に群生するBETA、約1億2500万匹ではなかった。
マライが明かした秘密――戦術機のコンピュータに米国が細工をした話――だった。
 彼女は、ユルゲンと西ドイツの女スパイの話を残さず、聞いていた。 
盗み聞きした内容の全てを、マサキに包み隠さず、教えたのであった。 
 マライの話は、こうだった。
 戦術機の管制ユニット――戦闘機でいうところの操縦席――に搭載された内臓コンピューターに、秘密の仕掛けがしてある。
 管制ユニットは、米国企業・マーキン・ベルガーの一社による独占特許だ。
(マーキン・ベルガーは、現実世界の英国企業、マーティン=ベイカー・エアクラフトに相当する)
戦術機の操縦方法の中核を担う、間接思考制御とされる装置。
 この装置は、操縦者の思考や反応を読み取って、搭載するコンピュータに情報を帰還(フィードバック)させる物である。
パイロットが着用した強化装備を通じて、個人の生体情報(バイタルデータ)や操縦記録がコンピュータに蓄積される。
数値化された生体情報によって、機体の操縦に影響するという特殊な仕組みである。
 つまり、簡単に言えば、搭載されたコンピューターでロボットの手足を動かすという方法ではなく、人間の思考を間接的に利用して、ロボットを操縦する仕組みである。
故に、間接思考制御と呼ばれるのだ。
 非常に複雑で、特殊な電子機器を用いる為、高度な生産設備と素材が必要となった。
その為に、主要先進国以外では、管制ユニットに関しては、完全な輸入に頼った。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         
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