第三部 1979年
姿なき陰謀
権謀術数 その1
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、その様に取り沙汰されている。
「このソフトウエアは現在流通している管制ユニットに搭載されたソフトの改良型で、面白い仕掛けを追加したものになります」
「面白い仕掛け?」
「戦術機の管制ユニットに仕掛けられたソフトウエア経由で、相手方の機体の情報をハッキングし、改ざんものです。
レーダー装置を混乱させ、相手のパイロットにこちらの機体の接近を気づかなくさせるものです」
「目隠しみたいなものか」
「おっしゃる通りです。
我々としては、血を流さずに全世界の戦術機を操作することも可能となります」
副大統領のひとみに、ちらと猜疑めいた光が動く。
「では、ソ連の衛士のバイタルサインやデータも盗み放題だと……」
「GRUが熱を上げていたESP兵士やスペツナズ部隊、KGB直轄のアルファ部隊も丸裸に出来るのです」
副大統領は、ちょっと、考え込む。
あらぬ方へそらした目は、何か、いちばい目的への希望に燃えたふうだった。
「それで、君たちは、戦術機のソ連への供与を、議会承認の前に進めたのだね……
だが、KGBがそれに気が付かないとは思えぬのだが……」
「はい。
この新型の集積装置は、ソ連などの、田舎の整備工場などの検査ではわかりません。
単一光子放射型コンピューター断面撮影法といった最新装置でなければ……」
SPECTは、1977年に米国で実用化した核医学における断層撮影装置の事である。
簡単に切開手術のできない脳の断面などを撮影することを目的に開発された。
「ほう、そいつはすごいな」
「強化装備を着てれば、その衛士のデータは自動的に蓄積されます。
一たび、戦術機に乗れば、そのデータはマンハッタンの地下にあるデータセンターに送信される仕組みになっています。
また、開発中のGPSとの連動も含めれば、相手側の位置情報がほぼ盗み見することが可能になります。
位置情報ばかりではありません。
思考・状態・軍事作戦の全容も、管制ユニットを通じて、読み解くことも可能です」
「ソ連の思惑が筒抜けになれば、我らの積年の夢も叶う日も近い」
「そうです」
「新世界秩序の実現もな……」
場面は変わって、カリフォルニア州にある海軍兵器センター。
場所は、州南部のハイデザート砂漠の中央部にあり、チャイナ・レイクと呼ばれる乾湖の傍にある米海軍の試験場である。
1942年から海軍の航空機やミサイル実験場として使われていた。
同様の基地としては、米空軍のエドワーズ空軍基地が有名であろう。
1992年以降は、チャイナレイク海軍航空武器基地という名称に変更になった。
さて、基地にある滑走路上で、十数名の男女が双眼鏡を片手に、上空を飛ぶ新型機を見つめていた。
その多くは海軍関係者で、白色夏季勤
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