第三部 1979年
姿なき陰謀
権謀術数 その4
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器の研究も、全て別な省庁が立て替えて、軍事予算には影響しなかった。
ソ連参謀本部は、米空軍の対地攻撃機に関して早い段階から情報を得ていた。
参謀本部直轄の諜報機関であるGRUは、米国の航空機メーカーにスパイを潜り込ませ、その情報を水族館(GRU本部)に送り込んでいた。
米軍初の対地攻撃型戦術機のサンダーボルトA-10などは、開発段階から察知していたのである。
だが、ここで一つの誤算が生じてしまう。
木原マサキとゼオライマーの存在である。
マサキはサンダーボルトA-10の思想とその姿かたちに惚れこみ、開発元であるフェアチャイルド社に接近した。
そこで、サンダーボルトA-10の改修事業に参画したのだ。
GRUと競争関係にあり、マサキと敵対するKGBは、マサキつぶしの一環として、CIAにフェアチャイルド社内にあるGRUスパイ網を暴露した。
これにより、マサキが事業計画に関わる直前に、GRUの細胞が壊滅するという事態に至った。
GRUは、この予想外の出来事に慌てた。
フェアチャイルドとその関連子会社であるセミコンダクターにいたGRUのスパイ組織が一網打尽に逮捕されてしまったからだ。
おまけに協力関係にあった東ドイツが、マサキの側に寝返ったのも大きかった。
彼等は司法取引として、半導体関連企業に潜り込ませたシュタージのスパイ網をFBIに提供し、GRU壊滅作戦に協力したのであった。
ソ連の対地攻撃機開発は振出しに戻るかと思えた。
そんな矢先である。
ノースロップの試験機、YA-9攻撃機の設計データが何者かに持ち出され、ソ連に手渡されるという事件が起きたのだ。
そのデータを基にして出来た機体が、SU-25戦術機である。
スフォーニ設計局の主任である、アントン・スフォーニは満足していた。
ノースロップのYA-9攻撃機は、F-5フリーダムファイターの基本設計を応用して作られた機体である。
ライバルとなったサンダーボルトA-10の前衛的なデザインと違って、手堅い設計であるが、対地攻撃機としての任務には十分対応可能だった。
BETA戦での被害を受けて、管制ユニットと跳躍ユニットには大規模な改修が加えられた。
管制ユニットは、厚さ25ミリのチタン合金で覆われ、BETAはおろか、スティンガーミサイルなどの直撃から耐えられるようになった。
跳躍ユニットは、前線での燃料補給の煩雑さを反省し、航空燃料からT-80戦車用の軽油、家庭用の灯油でさえ稼働するように再設計された。
これは度々航空燃料が横領され、転売した差額を懐に入れるソ連赤軍の汚職という特殊事情を考慮した為でもあった。
ソ連では、政府・軍は言うに及ばず、KGB機関でさえも、国家規模の窃盗が横行した。
スターリン時代には、強制収容所(
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