第三部 1979年
孤独な戦い
匪賊狩り その5
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連のスペツナズが撤退して、間もなく。
美久の駆るグレートゼオライマーは、単騎、ジャフナ要塞に現れた。
ジャフナ要塞は、ポルトガル人が16世紀にたてた要塞で、オランダ・英国時代を通じて、その当時を形を残す貴重な史跡であった。
だが、今は匪賊の手に落ちて、一大軍事拠点へと改造されていた。
グレートゼオライマー接近を察知した匪賊は、自身の持てる航空戦力のすべてを、グレートゼオライマーに向けた。
だが、天下無双のマシンであるゼオライマーにとって、それは無意味な攻撃であった。
指にあるビーム砲で、追いすがってくる戦術機やCOIN機、武装ヘリを難なく撃ち落す。
両足に搭載した精密誘導ミサイル、およそ100発。
それらは、要塞や市街にある対空火器に向けて、順次発射されていった。
対空陣地にある機関砲は、狼狽を極めて、急に防戦してみた。
だが、敵機は、一気に高度1万メートルの上空に飛び上がった。
何もかも、間に合わない。
突如の敵機出現に、虚を突かれた「イーラムの虎」は、上を下へと混乱を極めていた。
そのあげく、潰乱してくる途中、運悪くグレートゼオライマーから発射されたミサイルにぶつかってしまった。
ここでは、徹底的に叩かれて、要塞にいた5000の兵士のうち生き還ったものは、100にも足らなかった。
場面は変わって、ここは英国。
バッキンガムシャーにある、邸宅、『ワデズドン・マナー』。
この豪奢な屋敷の一室で、密議を凝らす男たちがいた。
屋敷の主人と、英国首相、MI6部長などである。
「木原の暗殺は失敗したか」
「申し訳ありません」
「今日限りで、MI6長官の職を辞したまえ」
「分かりました……」
MI6部長は、屋敷の主人に問いただした。
「男爵様、ただ、一つお尋ねしたいことがございます」
「うん」
「なぜ、そこまで執拗に木原を狙うのですか」
男爵様と呼ばれる、このユダヤ人の男は、英国一の金満家。
総資産は、1京円とも、9000兆円ともいわれ、米国の国家予算をはるかにしのぐ規模であった。
その為、ロンドンのシティはおろか、英国政界のみならず、王室さえも自在に操れた。
彼の祖先は、ドイツのフランクフルト・アム・マインにあったユダヤ部落の出身者であった。
赤札通りといわれる地域の出身者であった為、屋号を「赤札屋」とした。
「奴は、我らが宿敵となったドイツ民族の統一を望んでいる」
「まさか……」
「奴は、東ドイツのシュトラハヴィッツを支援して、KGBの影響力を東ベルリンから削いだ」
「それがどうして……」
「シュトラハヴィッツは、その見返りとして木原の行動を手助けしている。
このまま放っておけば、東西ドイツは再び手を結んで、EUに加盟し、EUを隠れ蓑に第四
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