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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第194話:アダムの慟哭
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奏は響を自分達の方に引き寄せる。
「ま、こうなるだろうと思っちゃいたけどな」
「響、こっちおいで」
「奏さん、でもッ!?」
「いいから。こっちの話を聞かない奴なんて、今まで何度も相手にしてきただろ? だからまずは、話し合える状態を作らないとな」
完全だ完璧だと声高に叫ぶアダムではあったが、颯人達の目にはそれは唯一自身が自信を持って縋る事の出来るアイデンティティーを守ろうとしているプライドが高いだけの人間にしか見えなかった。少なくとも自身の享楽の為だけに多くの人々を容易く犠牲に出来るワイズマンに比べれば余程人間臭い。
そんな相手であれば分かり合える余地はどこかに残されているのではないかと、颯人達は僅かながら希望を抱いていた。
「つう訳で、最後の大暴れと行きますか!」
奏は体を解す様に伸ばしながら、右手の中指にドラゴンからプレゼントされた指輪を嵌め颯人の隣に並び立つ。2人は顔を見合わせると、仮面越しに微笑み合いながら前を見た。
「さぁ、見せてやるよ。アタシの魔法ッ!」
〈ブレイブ、プリーズ〉
奏がギアコンバーターに右手を翳す。颯人達魔法使いでいう所のハンドオーサーに近い役割を果たしたコンバーターから音声が響くと、奏の体が魔法の炎に包まれる。
熱さを感じさせない炎に包まれ、奏のギアの形状が大きく変化する。ベースはウィザードギアのガングニールだが、上半身を包んでいた胸当ては無くなり、赤と黒のボディースーツが露わとなっていた。代わりに肩から背中は表が黒く裏が赤いマントが彼女の体を包み、手に持つアームドギアは上下両端に穂先と魔法石を持つ形状へと変化していた。
颯人と奏の愛が結晶となり、それにドラゴンが手を貸した事で奏の新たな力となったウィザードギア。その名もウィザードギアブレイブ。希望と奇跡を担う魔法使いと、その彼を何処までも支え続ける歌と魔法の担い手が揃った瞬間であった。
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