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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第194話:アダムの慟哭
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 それを見て、真っ先の動き出したのは響であった。

「あれはッ! オォォォォッ!」

 響は即座にあれが神の力を宿したものであると気付き、それを止めるべく飛び上がった。響が神の力に迫るのを見て、アダムはそれを防ごうと錬金術を放つ。

「近付けないよ、君だけはッ!」
「困るね、それを壊されるとッ!」

 アダムと同時にワイズマンも魔法を放つ。奇しくもこの瞬間だけは、ワイズマンとアダムの利害が一致してしまった。我先にと奪おうとした神の力を、響により粉砕されては元も子もない。

 だがアダムとワイズマンの魔法と錬金術は、間に入った颯人により防がれてしまった。

「おっと! させないぜ、あの子の邪魔はなッ!」
「くッ!? この、邪悪な血族がッ!? お前まで邪魔をするのかッ!?」
「あぁするね。少なくともお前や、お前の隣に居る奴にこいつが渡るくらいならなッ!」

 颯人の言葉に漸くアダムは、自身の隣に居るワイズマンと自分が同じ事をしていた事に気付いた。こんな奴と歩調を合わせるなど冗談ではないと言わんばかりに、アダムはワイズマンを振り払う。

「退けッ!? この鬼畜生がッ!?」
「ヒトデナシが何を言う、人形風情」

 アダムとワイズマンが勝手に争い始める。それを呆れた目で見ながら、颯人は背後で響が神の力を粉砕するのを見届けた。

「オォォォォォッ! ハァッ!」

「ッ!? しまった!?」

 響の雄叫びにアダムが上を見た時にはもう遅い。響の拳が神の力の宿った腕を粉砕した。神殺しの力を持つ響の一撃を前に、神の力は再生する事叶わず神の力そのものも形を留める事が出来なくなり霧散していった。

「あ、あぁっ!? あっ!?」

 アダムは散っていく神の力を少しでも集めようとするのか手を伸ばすが、既に消滅が始まっている神の力は何物に留まる事もなく消えていく。その光景にアダムは絶望し、膝をついた。

「また……失った……また、邪魔された…………何故? どうしてだ……なんで完璧な筈の僕が、こんなに失敗ばかりを繰り返すんだッ!?」

「そりゃ、お前が完璧じゃないからだろ」

 慟哭するアダムに、颯人が静かに声を掛ける。その声にアダムはゆっくりと顔を上げ、自身を見下ろしてくる彼の顔を見た。

「何……」
「完璧なんてこの世に存在しねえんだよ。一見完璧に見えても、それは一側面からのものでしかねえ。完璧じゃないから、皆集まって互いの足りない部分を補うのさ」

 颯人の傍には何時の間にか奏が居た。彼は隣に立つ愛する彼女をそっと抱き寄せ、自分は1人ではないという事を実感すると共に強調する。
 それをアダムは逆に嘲笑った。

「言うじゃないか、知った風な口を。だが分かってるのかい? その男の祖父は、
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