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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアAXZ編
キャロル誕生日特別話:眠れる王子を起こす姫
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りでなかなか起きない事であった。

「じゃ、じゃあ……眠り王子は、お姫様のキスで起きるの……かな?」

 自分で言ってキャロルは何だか背中がむず痒くなった。ハンスを王子に例えるならともかく、自分自身をお姫様に例えるなど恥ずかしすぎる。恥ずかしさのあまりキャロルの顔が真っ赤に染まり、思わず頬に手を当てれば熱くなっているのが分かった。

 が、その割には彼女の視線は彼の顔から離れていない。もっと正確に言えば、その視線は寝息を立てて薄く開かれている彼の唇に集中していた。

「…………!」

 キャロルは気付けばそっと顔を彼の唇に近付けていた。時々理性の制止が掛かるのか、少し近付いては止まり、近付いては止まりを繰り返しながら彼の寝息が顔に掛かる程にまで顔が近付いた。もうあと数センチで2人の唇が触れ合うのではと言う程にまで近付いていた。

――ちょ、ちょっとだけ……ちょっとだけ……!――

 心臓が今まで感じた事が無い程早鐘を打っている。破裂するのではないかと思う程の鼓動を刻む胸の前に手を置き、大きく深呼吸しながら更に顔を近付けた。

「お、起きないハンスが悪いんだからね……」

 言い訳の様にそんな事を呟きながら、2人の唇の距離が僅か数ミリにまで近づいた。

 その時、何時の間にか閉まっていた部屋の扉がイザークによりノックされた。それだけではなく、彼はハンスを起こしに向かった筈のキャロルがなかなか戻ってこない事に、何かあったのか心配して部屋の中を覗きに来た。

「キャロル〜? ハンス君は起きたかい?」
「わひゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 幸いだったのは扉が閉まっていた事だろう。だからイザークが部屋の中を覗くまでに僅かながら時間が出来た。その間に爆速で体を仰け反らせて顔を離したキャロルだったが、感情が勢い余って寝ているハンスの顔に平手を思いっ切り叩き付けてしまった。驚きのあまり力加減を失ったキャロルの平手が、割と洒落にならないバシンと言う音を立ててハンスの顔に叩き付けられる。

「んぶぉっ!? な、なになにっ!? 何があった!?」

 微睡みの中に居たハンスは、突然顔を思いっ切り叩かれた事に何が起きたのかと大慌てで飛び起き周囲を見渡した。が、辺りを見れば顔を真っ赤にして狼狽えているキャロルと何が何だか分からない様子でキョトンとしたイザークの姿があるのみ。その光景にハンスも困惑を隠せなかった。

「あ、え? 何? 何かあったんです?」

 自分の部屋にキャロルとイザークが居る事に、訳が分からないと顔に紅葉マークを付けながら唖然とするハンス。キャロルはそんな彼に端的に朝食が出来た事だけを告げて脱兎の如くその場から逃げ出した。

「は、ハンスッ! 朝ご飯出来たから早く起きてきてねッ!」
「あ、キャロル…
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